年間延べ12億人ほどの乗客が利用し、首都の大動脈ともいわれる山手線。
JR東日本は、この山手線をはじめとした路線の初乗り運賃を引き上げることを検討しています。
対象は、普通運賃や定期券で現在150円の初乗り運賃が160円となる見通し。
2026年3月に実施する方向で、国に申請を行う方針です。
首都圏の私鉄では2023年、東急電鉄と京急電鉄が初乗り運賃を10円ほど値上げしています。
また、関西の私鉄大手・京阪電鉄も2025年10月からの運賃値上げを申請済み。
JR東日本は2023年3月、駅のバリアフリー化を進めるため首都圏の一部で値上げしていますが、今回のような全面的な値上げは消費税導入時を除いて、JRとなった1987年以来初めてとなります。
現在、JR新宿駅とJR渋谷駅間の定期代は1カ月で5280円、6カ月間では2万5460円です。
専門家の試算では、運賃値上げ後、1カ月の定期代は310円アップし5590円に。
6カ月間では1500円アップの2万6960円となります。
値上げの背景について、専門家は少子高齢化による利用者の減少と、定期券の割引率があると指摘します。
鉄道ジャーナリスト・梅原淳さん:
(JR東日本の)全体6割くらいが定期券の利用者。通学定期というのは7割ぐらい割り引きされている。ほとんど教育福祉の目的だから、そんなに黒字にはなりません。(大手私鉄に比べ定期代の)割引率が大きくて、利益があまり出ないような状況だと思われる。定期券とその割引率だけ一気に変えるのは難しいけど、じゃあその前提となる普通乗車券の金額を変えましょうということだろう。
旧国鉄時代から、利用者の多い路線の運賃や定期代の割引率を高く設定してきていたというJR。
定期券利用者の増加で売り上げが減少しているため、今後、割引率を下げる可能性がある他、値上げの波はJR各社に及ぶと考えられるといいます。
利用者は「定期代も上がるってことだよね?と思うとめっちゃ痛くない?」「(定期代)6カ月分で高いから1カ月ごとに計算していて。8万円、6カ月で。痛いな。(今年度)卒業でよかったな」「もちろん上がらない方がありがたいけど、物価も全体的に上がっているので、仕方ないのかな。どちらかというと、子どもが将来的に学生になって学生定期券になったらちょっと負担増えるかな」と話しました。
JR東日本は、今回の値上げによる増収分を安全対策や設備維持などに充てる方針です。
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