ファストフード各社が高価格メニューを販売し人気になっています。高くても売れるウラには、“消費者心理をくすぐる”秘策があるようです。
「リッチメニュー」の“絶妙な価格設定”
『ウェンディーズ・ファーストキッチン』が10月から販売し話題となっているのが、「本気(ガチ)黒トリュフの濃厚ホワイトクリーム」(1120円)。
高級食材「黒トリュフ」の芳醇な香りと味わいが堪能できるパスタで、ホワイトクリームソースには刻んだトリュフをたっぷり絡ませ、トッピングにもトリュフ!
THE TIME,マーケティング部 西堀文部員:
「おいしい!黒トリュフがめちゃくちゃ良いアクセントになっています」
1000円でトリュフが食べられるならお得な気もしますが、他のパスタは600~900円台。“唯一の1000円超え”商品は売れているのでしょうか…?
『ウェンディーズ・ファーストキッチン』菊池愛稀沙さん:
「正直社内でも本当に売れるだろうかという意見もあるなかで、想定よりも売れている商品です」
なんと売り上げは、想定の1.5倍を記録!
ヒットの秘密は“絶妙な価格設定”と話すのは、これまで4000店以上の飲食店を取材してきた、『月刊食堂』の通山茂之編集長です。
通山編集長:
「売れる商品のセオリーとして、値付けの理論で言うと、その店の商品の“最低価格から2倍くらい”までは消費者に許容されると言われている」
確かに、最も安いパスタが620円で、一番高いトリュフパスタは1120円と、約2倍の価格。
消費者に“買ってもいいかも”と思わせる購買心理が働いているといいます。
バーガーも天丼も「リッチメニュー」
『モスバーガー』が11月から販売を開始したのが、
「一頭買い 黒毛和牛バーガー 〜山わさび醤油仕立て〜」(890円)。
通常のハンバーガーには使用しないサーロインやヒレといった高級部位などを使ったプレミアムバーガーです。
実はこの「一頭買い」シリーズは、2023年に期間限定で販売したところ、3か月で約240万個を売り上げた人気商品。
また、『天丼てんや』の冬季限定「冬 ご馳走天丼」は、
高級食材の「ずわい蟹」や「国産平目」、「天然大海老」に一尾丸々の「活〆穴子」の天ぷらが、丼からはみ出るほど盛り付けられて1480円(みそ汁付)。
ファストフードがナゼ高価格メニューを?
高価格帯のメニューを出す狙いはどこにあるのか…。
ウェンディーズ・ファーストキッチンの社長に、“1000円超えパスタ”を出した理由を聞きました。
『ウェンディーズ・ジャパン』紫関 修社長:
「パスタはファーストキッチンのひとつの顔で、だんだん競争が激しくなり売上が下がったけど、やはりもう1回“パスタにフォーカスさせたい”と」
そこであえて、高級なトリュフを使ったパスタを作ることにしたといいますが、ただ高いメニューを作るだけでなく、「松竹梅」になるよう“価格帯の異なる3つのメニュー”を同時に発売。
▼松=「本気(ガチ)黒トリュフの濃厚ホワイトクリーム」(1120円)
▼竹=「黒トリュフ ベーコンバター」(850円)
▼梅=「やみつきベーコンバター」(620円)
すると、社長も「意外だった」という事態が!
最も売れたのは一番安い「梅」でしたが、次に売れたのが一番高い「松」だったのです。
実はここにも、消費者の“ある心理”が働いているんです。
通山編集長:
「一番安いパスタは、“早く・安く”という本来のファストフードの価値がすごく感じられる商品。一方で一番高い商品は、出した価格に対して『黒トリュフが味わえる』という“体験価値”がすごく高い」
しかも、高級食材を体験するのにレストランだと敷居が高いけど、ファストフードなら気軽に入店できる。
いつもの場所という安心感が、“ちょっと高価なものを食べてみてもいいかも”という後押しになっているというのです。
この“体験価値”を生み出した結果、ウェンディーズ・ファーストキッチンではパスタ全体の売り上げが30%も増加したそうです。
(THE TIME,2024年11月22日放送より)
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