“令和の米騒動”といわれた2024年のコメ不足。原因の一つに2023年、猛暑でコメが育たなかったことがあげられます。こうした中、「暑さに負けない」新たなコメ作りが注目されています。これまでの常識を覆す、農家の取り組みを取材しました。

■“大量の水・苗づくり・田植え不要”のコメ作り 労働時間70%減

日比麻音子キャスター:
取材した新たなコメ作りは、再利用したビール酵母などを種もみに混ぜるだけなんです。

そうすることで、病気に感染したと勘違いをし、ある程度のストレスをかけることで、根の成長が促進されます。穂の部分にも栄養が行き届いて、一粒が大きくなるそうです。食べてみると、甘みがギュッと詰まっているように感じました。

大量の水、苗づくり、田植えも不要になり、ヤマザキライスによると、設備コストは40%減り、労働時間も70%減るということです。

農家の皆さんに話を聞くと、高齢化が進んでいて、重労働を続けるのも難しくなっているそうです。このような削減ができるので、続けるきっかけができたという声も聞こえてきました。

産婦人科医 宋美玄さん:
今年の夏のコメ不足で、コメがないと生活が成り立たないんだと実感しました。新たな技術で、コメを作れる地域が広がると、もっと豊かで安定するのかなと思います。

日比キャスター:
今まで水がたくさんあって、安定的なところでしかできなかったようなコメ作りの可能性が広がっていくという話もありました。

■メタンガス 日本での発生源44%は水田 “水を使わない”コメ作りで削減も

日比キャスター:
温暖化の原因の一つと言われているメタンガスの温室効果はCO2の28倍で、日本での発生源は、▼水田44%、▼家畜のゲップ28%とされています。

どういう仕組みで水田からメタンガスが発生するのでしょうか。

土の中には「メタン生成菌」というものがあり、酸素が少ないと菌が活性化してしまうということです。水を張る水田では、酸素がなかなか行き着かなくなり、たくさんのメタンが稲を通じて大気に放出されてしまうといいます。

“水を使わない”コメ作りの場合、メタンの排出を87%削減するということです。

農家の皆さんは、実際に使ってから、水田におけるメタンガスの影響を発見したそうです。

■1年に2回も収穫の二期作 石垣島でもコメ作り

日比キャスター:
石垣島の「照沼農園」では、田んぼを借り、コメの二期作に挑戦するということです。

一般的なコメ作りは、4月から5月に田植え、9月から10月に収穫します。一方、石垣島でのコメ作りは、2回行い、▼1回目は2月に田植え、6月に収穫、▼2回目は7月に田植え、11月に収穫するということです。

今年の1回目の収穫は、コメ不足の中、“日本一早い新米”として販売し、好評だったそうです。

農家の皆さんが様々なSDGsの取り組みをしている中で、消費者も買うときに、「どのように作られているのか、どんな思いで作られたのかを考えて選んで買うことをSDGsに繋がっていく」という話もありました。

山内あゆキャスター:
コメ作りのプロセスが長いことはよくわかっていますが、どうやって作られているのかを、パッケージの表示で見られるようになると、見て選ぶこともできていいですよね。

日比キャスター:
水をたくさん使わなくて済むのであれば、被災地などなかなかコメ作りが難しい地域でもできるかもしれません。

産婦人科医 宋美玄さん:
どの地域にどんな災害が起こるかわかりません。海外から食料を買えなくなるときが来るかもしれないので、技術が進んで、北から南まで、どこでもコメを作れるようになるのは、未来のあることだと思います。

日比キャスター:
「今後はこの技術、海外の進出も目指したい」とも言っていました。

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