日本時間11月5日の夜から投票が始まったアメリカ大統領選挙では、トランプ氏が勝利しました。トランプ氏の“大統領返り咲き”で日本の暮らしにはどんな影響があるのか?現代アメリカ政治が専門の神戸大学大学院・安岡正晴教授に聞きました。
◎安岡正晴:神戸大学大学院・国際文化学研究科教授 現代アメリカ政治が専門 日米関係に詳しい
まず、トランプ大統領の“返り咲き”による日本経済への影響について、野村総合研究所・木内登英さんは以下の3点を挙げています。
▼「ドル安円高」→輸入品が安くなる
▼「円高&関税UP」→輸出企業が苦しくなる
▼「中東情勢悪化」→ガソリンが高くなる
アメリカ産の肉が安くなる可能性
「ドル安円高」になれば輸入品は安くなります。これについて安岡正晴教授は、トランプ氏はバイデン政権ときに上げてきた金利を下げるよう強く圧力かけていて、なるべくドル安へ誘導したい考えだと話します。
また、アメリカはTPPから離脱したものの、TPP並みに農産物の関税を引き下げる日米の貿易協定を安倍政権のときに結んでいるため、農産物を日本の方で買うよう圧力を強める。そうした点ではアメリカ産の豚・鶏・牛などの値段が下がる可能性があるといいます。
アメリカへ売りたいなら“アメリカで作れ”!?
そして「円高&関税UP」について。関税を引き上げれば当然、日本の輸出企業に関税がかかってきます。安岡教授によりますと、例えば自動車では、日本のメーカーがメキシコで生産してアメリカに輸出したりしていましたが、そうしたものにもトランプ氏が高関税をかけようとしているといいます。
また、トランプ氏は80年代の日米貿易摩擦を問題視していると言及。当時、日本の輸出が多いとしてアメリカが圧力をかけ、トヨタがケンタッキー州に工場を作るなど、アメリカ国内で生産するようになりました。トランプ氏としては関税をできるだけ上げて、もし売りたいなら“アメリカ国内で作りなさい”という考え方ではないかということです。
中東情勢にトランプ氏はどう対応?
そして「中東情勢の悪化」。現在イスラエルとイランが対立していますが、トランプ氏はイスラエルを支持しています。
トランプ氏は長くイスラエル寄りの政策を取っていて、イスラエルと他のアラブ諸国との仲介もしていたため、一時はサウジアラビアとイスラエルの国交が正常化するのではと言われるタイミングもありました。しかし、前にトランプ氏が大統領だったときはイスラエル寄りの政策をとりやすかったものの、今回はハマスによるガザへの攻撃などもあり状況がこじれています。そのため、トランプ氏がイスラエルなどにどう向き合うかは今後大きな問題だと安岡教授は話していました。
私たちの暮らしにも影響があるアメリカの政治。今後トランプ氏がどんな発言をしていくのか注目です。
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