7月の豪雨による土砂崩れで大きな被害があった山形県最上町・瀬見温泉の旅館が、3カ月間の休業を経て11月11日に営業を再開する。従業員全員が力を合わせ、なんとか紅葉シーズンに間に合った。
甚大な被害も…社員一丸で再出発へ
11月1日、最上町にある「ゆめみの宿 観松館」の高橋裕社長は、館内を案内しながら「まだちょっと跡が残っている…。ここまで泥水が来ていたので」と語った。
この記事の画像(18枚)3カ月がたってもまだ残る爪跡。それでも、旅館は一丸となって再出発への準備を重ねてきた。
高橋社長は「きのう(10月31日)完成したのでお湯を張った。6月にリニューアルした直後に泥まみれになり、最初は『どうしたらいいのだろう』という気持ちだった。社員一同みんな頑張ってくれて、やっとここまできれいにできて、宿泊客を迎える準備も整いつつあるので、今は少し希望が持てるようになった」と話す。
7月の大雨で、瀬見温泉では大規模な土砂崩れが発生。老舗の宿「観松館」には大量の土砂が流れ込み、休業を余儀なくされた。
ボランティアの手も借り、朝から晩まで続いた泥の撤去作業。しかし、被害は想像を超え、宿の外にも及んだ。
宿の下水処理を一手に担ってきた「浄化槽」が、土砂の直撃を受けて機能しなくなった。
観松館・井上淳総務部長によると、建設中の新しい浄化槽の費用は8000万~1億円近いといい、「1日も早くオープンしたいので早く完成させたい」と語る。
「より良いサービスで迎えよう」
クラウドファンディングで800万円を超える資金が集まったが、破損した建物や浴室の改修費用、これに宿泊予約のキャンセルなど売り上げの損失を含めると、被害総額は約3億5000万円に上る。
到底足りる額ではないが、高橋社長は「たくさんの方に支えてもらって、従業員も一生懸命頑張ってくれたので、自分もここまで折れずにやってこられた。すごく感謝している」と語った。
11月11日の営業再開に向けて、予約は順調に入っている。
スタッフも「おかげさまで新規予約も増えていてうれしいです。来てくれるお客さまに感謝して頑張りたいです」と前向きだ。
「被災前よりもきれいに、より良いサービスで迎えよう」、それが従業員全員の合い言葉だ。
高橋社長は「宿は災害が起きる前より、むしろきれいになったと思う。まだ至らない点もあるかと思うが、笑顔で明るくお迎えしたい」と話す。
紅葉シーズンに間に合った観松館の営業再開は、11月11日となっている。
(さくらんぼテレビ)
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