「相続の落とし穴」シリーズ第3弾。相続した親の土地、放っておくととんでもないことになっちゃいます。さらに非課税で人気の「NISA」にも、大きな落とし穴があるんです。
実家を放置すると「10万円のペナルティ」
まずは、誰もがいつか直面する「実家の相続」。住むつもりもないし面倒…と放っておくと「10万円のペナルティ」が発生するようになったの、知っていますか?
円満相続税理士法人 橘慶太さん:
「これまでは名義変更は義務ではなかったので、疎かにしてしまった人も3年以内に誰のものか急いではっきりさせなくてはいけない」
【相続登記の義務化】※2024年4月からスタート
▼「相続を知った日」から3年以内に、不動産の名義変更「相続登記」をしなければならない
▼正当な理由なく登記しない場合は10万円以下の過料の可能性
相続登記の義務化は、「2024年4月以前に相続している不動産」も対象。
法律ができて半年、猶予はあと2年半です。
安住アナは少々不満?土地を「国へ返還」新ルール
名義変更を済ませたら、次に悩ましいのが「実家の管理」。これも放っておくと大問題になるかもしれません。
橘さん:
「土地の所有者が明確になると、その土地にかかる責任も所有者にしっかりのっかってくることになります」
放置していた家で漏電が起きて火事になったり、相続した山に不法投棄をされて片付け費用を負担するなんてことも…。
相続した実家をどうするか…自分で住んだり、売って処分できるならいいのですが、売れない家や土地が多いのも実情。そこで、2023年からの新ルールを使う人も増えています。それは「土地を国に返還する」というもの。
そもそも相続とは、<すべてを相続する>か<すべてを放棄する>どちらかを選ぶもの。放棄するなら土地も、金も遺品もすべてなくなるのですが、【相続土地国庫帰属制度】では相続した土地だけを手放すことができるのです。
しかし、タダで返せるわけではありません。
この制度が利用できるのは「建物が建っていない土地」。なので家を取り壊して更地にする必要があり、そのお金は自己負担。
さらに、審査手数料1万4000円と、負担金(原則20万円~)を支払う必要があります。
また申請できる土地には「建物が建っていない」以外にも
▼境界線がはっきりしてる▼土壌汚染がない▼竹が生えていないなど細かい条件が…。
安住紳一郎アナは「国に返すのにもお金がかかるんだ」と少々不満な様子。さらに竹が生えていたらダメという条件にも「どうして?」と疑問を口にしました。
橘さんによると、竹は根が深く、除去するのが大変なのでNGとのことですが、この制度と相性がいいのは「田畑を手放したい人」だといいます。
田畑は、「農業をしている人以外に売ることが出来ない」ので、相続しても持て余している人が多いとのこと。しかし【相続土地国庫帰属制度】なら「建物ナシ」「土壌汚染ナシ」「境界線はっきり」という条件をクリアすることも多く、申請に手間がかからずおススメなんだそうです。
非課税が人気の「NISA」…相続で税金が2倍に!?
続いては、おトクな面が目立っている「NISA」。相続には意外な落とし穴があるんです。
50代女性:
「娘が社会人になったばっかりなので、ふたりでNISA始めようかと」
50代女性:
「米国系のNISAにしていたので、円安で増えていますね。メリット受けています」
2024年1月にはじまった「新NISA」。すでに2400万以上の口座が運用されていますが、最大のメリットは税金がかからないこと。
普通に株を買った場合、1万円の利益が出ても税金で20%とられ、手元に残るのは8千円ですが、NISAなら税金が免除されるので1万円がそのまま手元に。
しかし、相続すると一転、普通の株と同じように「税金がかかる」ようになってしまう場合もあるのです!しかも…
橘さん:
「NISAで運用している時に相続が起きてしまうと、税金的に損をしてしまうことがある」
例えば、以下のようなケース。
▼父親が100万円で株を購入
▼株が50万円に下がった時に父親が死亡し、娘が相続
▼娘は株が150万円に値上がりした時に売却した
これ、父親が買った株が「NISA」だと、通常の株より売却時の税金が高くなるんです。
そもそも株を売った時にかかる税金は<購入時の価格>と<売却時の価格>の差額から計算します。
なのでNISA以外の口座で株を運用していた場合
【父親が購入した価格100万円】-【売却価格150万円】=【利益50万円】となり、税金(20%)は10万円。
しかし、NISA口座で株を運用していた場合は「相続した時の価格」を元に計算するので、
【娘が相続した価格50万円】-【売却価格150万円】=【利益100万円】となり、税金(20%)は20万円になるのです。
元々は同じ100万円だったのに、税金が2倍に!株が値下がりしてる時の「NISA」相続には注意が必要なんです。
人気のNISAに思わぬ落とし穴。知らないと、損をするかもしれません。
(THE TIME,2024年10月23日放送より)
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