物価高の中“あえて”値下げをする動きがいま、広がっているようです。「値下げ」と「値上げ」について、見ていきます。
■あえて値下げ「新規顧客の確保につながる狙い」
山内あゆキャスター:
牛丼チェーンの3社は、期間限定ですが、値下げに踏み切っています。
吉野家では15日まで、牛丼・並が498円のところ、398円となります。100円の値下げです。
松屋では15日まで、牛丼・並が430円のところ、クーポン利用で380円となります。クーポンは何回でも利用できます。
すき家では16日まで、牛丼・並が430円のところ、クーポンを利用して350円になります。
300円台で、牛丼が食べられるのは、久しぶりな気がしますね。
日比麻音子キャスター:
牛丼は、4年連続で値上げが続いていました。
萩谷麻衣子弁護士:
円安がかなり進んだこともあり、高くなっていましたよね。“値上げ疲れ”をしていたので、少しほっとします。
南波雅俊キャスター:
相当な企業努力だと思いますが、何度もクーポンが使えるところもあり、嬉しいですよね。
山内キャスター:
スーパーなども値下げに踏み切っています。
大手スーパーの「イオン」は、9月18日からプライベートブランドの「トップバリュ」の商品を19品目を値下げしています。カップ麺やティッシュなどです。
ホームセンターの「カインズ」は、9月25日から生活必需品など、391品目を値下げしています。猫の砂などペット商品も含まれます。
いずれも期間限定ではなく、レギュラーでの値下げです。
なぜ値下げに踏み切っているのか、専門家に聞きました。
経営評論家の坂口孝則さんによると、宣伝効果が高く、節約志向の人にアピールすることができるそうです。その後の新規顧客の確保につながる狙いがあるということです。
日比キャスター:
各企業の努力と工夫のたまものだと思いますが、大手だからこそできる側面もあるのでしょうね。
萩谷弁護士:
少し体力が残っている企業が先駆けでやってみる。財布のひもが硬くなっていると思いますが、少し緩めてもらうために、いいもので安く提供しようという方向性になってきているみたいですよね。
■コンパクトなパッケージに “レントゲン”で内容量示す
山内キャスター:
消費者にとって値上げは苦しいですが、企業にとっても苦しいものです。
例えば、「プリングルズ」も、9月に値上げをしました。同時にパッケージを変えて、少し小さくなりました。
中身も小さくなったのでは、と誤解を生みやすいパッケージということで、こんな試みをしました。
広告(新宿駅構内)
「プリングルズの新ショート缶はコンパクトになって内容量そのまま」
さらに、内容量について開けなくてもわかるように、レントゲン画像で示しました。
萩谷弁護士:
すごい企業努力ですよね。パッケージが小さくなれば、ごみの容量も少なくなるので、すごくいいと思います。
(他の商品などでも)袋を開けて「少ない…」などありますよね。
南波キャスター:
(プリングルズは)「意外といっぱい入っている!」となるかもしれないですね。
■頭を下げさらに深く…値上げ時に話題 もしもに備えて
山内キャスター:
さらに値上げのときに話題になったのは、赤城乳業「ガリガリ君」です。
最初の値上げは2016年で、60円から70円(税別価格)になりました。当時の広告では社員一同が頭を下げました。
2024年3月には、70円から80円(税別価格)になりました。前回同様に、広告では社員一同が頭を下げていますが、さらに深く下げていました。90度にまで下がって、首の後ろまで見えているくらいでした。
当面、値上げの方針はありませんが、赤城乳業は、これ以上の値上げをした場合に、どう謝るか準備しています。
80円から90円の場合(想定)、膝をつきます。90円から100円の場合(想定)、膝をついたうえに、頭を下げます。100円から110円の場合(想定)、さらに深く頭を下げるというものです。
南波キャスター:
この時代に、80円です。私たちのほうが「ありがとうございます」と頭が下がります。
萩谷弁護士:
美味しいものを品質を下げずに提供してくれたら、少し高くても買いますよね。
企業も、値下げをして頑張ってばかりいると、賃金が上がらないのもあるので、適正な価格はしょうがないと思うしかないでしょう。
日比キャスター:
値上げは財布に苦しいですが、「思い」で気持ちが変わるというか、ネガティブではないですね。
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