特集は音楽や動画などさまざまな分野で広がる定額制サービス=サブスクについてです。今、保育園、幼稚園でもおむつやエプロンのサブスクが広がっています。背景と現場の声を取材しました。


■おむつの「サブスク」 荷物が減ったと好評

スヤスヤと眠る子どもたち。長野県中野市・ひらおか保育園のお昼寝の時間です。

0歳から3歳の「未満児さん」は、お昼寝が終わるとー。

保育士:
「はい、たっち。おしっこ出てるかな?」

おむつ替えです。

サイズはそれぞれですが、全員が同じ種類。実は「サブスク」のおむつです。

中野市 ひらおか保育園・町田理恵園長:
「この部屋、空き部屋になっていて、こちらの方でストックしています」

これは保育園の運営や子育て支援を行う「BABY JOB」(大阪市)が手がけるサブスクリプションサービス。

園児1人あたり月額2508円でおむつとおしり拭きが使い放題となります。

こちらの園は、2月から無料の実証実験中です。

ひらおか保育園・町田理恵園長:
「保護者の方の負担にならないようにと忙しいお母さんたち、おうちの方のためにということで始めました」


市内の公立保育園では、名前を書いた紙おむつを1日5枚、持参することになっていますが、「サブスク」にするとその手間がなくなる上、枚数を気にせず使えます。

今年度から使用済みおむつを園で処分するようになったため、行きも帰りも荷物が減りました。

迎えにきた保護者はー。

1歳児の保護者:
「朝の時間とかは楽だと思いましたね。名前も書かなくていいので、いちいち」

2歳児の保護者:
「荷物減るのは、とってもいいな」

アンケートでは利用した保護者29人全員が「満足」と回答。「荷物が減った」「朝、余裕ができた」と好評です。

■保育士にもメリット

保育士にもメリットがー。

保育士:
「(記名を)いちいち見なくても、(頭に)サイズだけ入っているので、名前を確認しなくていいので、とても具合がいいです」

おむつを間違える心配もなく、効率良くはかせることができています。


■保護者が気になるのは料金 月額2508円

園は来年度、本格導入する予定ですが、保護者が気になるのは月額2508円という料金。

1歳児の保護者:
「金額がどうかなと思ったので要相談、考え中。もうちょっと安くなればいいかな」

2歳児の保護者:
「来年度から2歳児クラスになると、どんどんおむつを消費する数も減ってくると思うので、その点だと高いかな」


一方、おむつを使う2歳児の他に、2人の子を通わせている保護者はー。

園児3人の保護者:
「3人分準備するのが手間なので、1人でも省ければ楽です。家に帰ったら、やる時間が全然ないので、手間が省けるのはありがたい。(値段は?)全然気にならない」

メリットとデメリットを各家庭で判断することになります。


■使い捨てエプロンのサブスク

すでに、サブスクが定着している園もあります。

長野市の信濃ひまわり幼稚園はおむつのサブスクを2年前に導入。ほぼ全家庭が利用しています。

さらにー


給食の時間:
「いただきます」

今年度、使い捨てエプロンのサブスクも導入しました。

汚れを拭くウェットシートと合わせて、料金は月額877円です。

給食と1日2回のおやつに、タオルなどで作ったエプロンとお手拭き用タオルを3セット、持参することになっていますが、今は2~3割の家庭がサブスクを利用しています。


信濃ひまわり幼稚園・成田由美保育主任:
「毎日のお洗濯が大変だと聞くこともありますし、お母さんたち頑張ってお仕事されているので少しでも手助けできれば」

■広がる保育園・幼稚園での「サブスク」

サービスを提供する「BABY JOB」によりますと、2019年におむつ、2023年4月にエプロンのサブスクを始めると急速に広がり、現在、全国で4900施設が利用。

車で送り迎えすることが多い地方は、都市部ほどの需要はないものの、県内でも来年度、新たに5施設が導入し合わせて17施設になります。


こちらの園は他にも保護者の負担を減らす工夫をしています。

それはお昼寝用の簡易ベッド。園が一括で購入し、月額300円を徴収しています。

敷布団の持ち帰りで苦労する保護者の姿を見て昨年度、導入しました。


信濃ひまわり幼稚園・成田由美保育主任:
「雨の日に(きょうだい)2人分の布団とか、行ったり来たりするのを見て、どうにかならないのかなっていう話があったんですね。抱っこして荷物も持ってというのは大変だったと思うので、それは減ってよかった」

カバーと掛布団は週末、家庭に持ち帰ってもらいますが、敷布団に比べれば負担が減って好評です。


おむつとエプロンのサブスクは各家庭の判断。

ベッドと合わせると最高で月額3685円の負担です。


■保護者「負担が減った」

保護者に話を聞くとー。

サブスクを全て利用・1歳児の保護者(上に4歳):
「荷物これだけ、帽子だけなんです。ちょっと前までは考えられなかった、想像もしなかった制度なので、すごくありがたい」

サブスクを全て利用・1歳児の保護者(上に10・8・6歳):
「(上の子の)タオルの洗濯がすごく嫌で地獄の毎日。今は使い捨てにしてもらって本当に負担が減ってとても助かっています。(料金は?)全然いいです、お金がかかっても楽になる方が」

サブスク利用なし・2歳児の保護者(上に9歳):
「(敷布団がなくなって)重たい、かさばるというところが一番楽になりました。おむつは家から持ってきた方が安いかな。タオルも日々一緒に洗濯しちゃえば問題ないので、いいかな」


荷物が減っているのは使用済みおむつの「持ち帰り」を止める流れが広がっていることも背景にあります。

負担軽減や衛生面を考慮し、国は2023年1月から「園での処分」を推奨していのが理由です。

「BABY JOB」が全国の状況を調べたところ、長野県は2023年4月の時点で使用済みおむつの持ち帰りを42市町村が続けていました。

半数を超え全国ワースト2位でしたが、今年4月には13市町村に減っています。


子育てに苦労はつきもの。

それだけに少子化が進む中、これまでの「当たり前」を見直し、子育て家庭に寄り添おうとする現場の意識がサブスクを広めているようです。

信濃ひまわり幼稚園・成田由美主任保育士:
「保育を必要としているおうちの、保護者の方の力になれたらいいなっていうのもあるので、そういうものの面からも改善できるところはやっていけばいいかなと思うし、あとは気持ちの方で、しっかり寄り添っていければなと」

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