野村証券を巡り、証券取引等監視委員会は課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告した

企業が発行する社債の引受主幹事を巡り、野村証券を外す動きが相次いでいる。三井住友信託銀行や北海道電力は、野村証券を除く大手証券を主幹事に指定すると発表した。野村証券で発覚した国債先物の相場操縦の影響が広がっている。

三井住友信託は9月30日、5年物を中心とする10月の起債の引き受けから野村証券を除き、大和証券とSMBC日興証券を主幹事にすると公表した。

三井住友信託の持ち株会社の三井住友トラスト・ホールディングスも発行予定の永久劣後債(AT1債)で同様に主幹事を変更した。野村証券を外した理由として「金融庁による処分内容によっては起債運営に影響が生じる可能性も踏まえ判断した」とコメントした。

北海道電力は10月の条件決定を予定していた社債発行を巡り、野村証券を主幹事から外した。脱炭素への事業転換を後押しするトランジションボンド(移行債)で、5年物を150億円程度、10年物を100億円ほど発行する計画だ。

野村証券が今後、金融庁からの処分を受けた場合に、内部規定により同社経由で社債を購入できなくなる投資家が出る懸念があり変更を決めたという。トヨタファイナンスや沖縄振興開発金融公庫も起債の主幹事から野村証券を除外した。

野村証券は主幹事外しの広がりを受けて「関係者にご迷惑をかけたことをお詫び申し上げる。再発の防止と信頼の回復に努める」とのコメントを出した。

証券取引等監視委員会は9月25日、野村証券に2176万円の課徴金納付を命じるよう金融庁に勧告した。実際に取引を成立させる意思がないのに大量に売買注文を出す「見せ玉」と呼ばれる手口で不正に価格を操った疑いが指摘されている。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。