PwCコンサルティングの安井正樹・最高経営責任者(CEO)は1〜2日の「GDS2024世界デジタルサミット」(主催:日本経済新聞社)の講演後に取材に応じ、企業がサステナビリティー経営に取り組む必要性などを語った。主な一問一答は以下の通り。
――サステナビリティー経営はコストがかかるというイメージがあり、導入をためらう企業が多いです。
「中長期で何が起きるか、どういうリスクがあるかを見据えながら手を打っていくのがサステナビリティー経営の基本的な考え方だ。企業が中長期で利益を上げるには、ど真ん中に置くしかない。取り組まないとリスクを増やしたり、利益を損ねたりする可能性もある」
「ある海外企業は販売した製品を回収し、ロボットを使ってレアメタルを取り出して再利用している。短期で考えるとロボットに投資する合理性はないが、中長期でレアメタルがなくなるリスクを考えている。コストがかかっても、こうした取り組みをしないと勝ち残れない」
――サステナビリティー経営には何が必要になりますか。
「難易度の高い様々な課題に直面するため、ロボットや人工知能(AI)などテクノロジーの力を借りる必要がある。価値観をスライドさせて何かをやろうとしたら、テクノロジーを活用しないと問題解決ができないし、イノベーションも起こせない」
――テクノロジーや資金の面で支援を必要とする企業も多いのではないですか。
「社内に『テクノロジーラボラトリー』というチームがある。ドローンや脳科学、代替肉といった先端技術を調査するチームだ。彼らが朝から晩まで調べ、相当に技術の目利きができるようになっている」
「ソーシャル系のスタートアップの支援にも取り組んでいる。彼らがやっていることの重要性や経済性を言語化しないと、ベンチャーキャピタル(VC)はなかなか出資をしない。我々は有望なスタートアップを支援するし、PwCジャパングループ内の財団が経済リターンを考えずに助成することもある」
――スタートアップと大企業をつなぐ役割も担っているのですか。
「防災分野などで面白い取り組みをしているスタートアップがたくさんあり、大手企業とマッチングしている。PwCジャパングループには監査法人やM&A(合併・買収)チームなど様々な組織があり、社会性の高い活動の情報を共有する場を月1回程度の頻度で設けている」
(聞き手は中島募)
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