著名投資家カール・アイカーン氏=ロイター

【ニューヨーク=竹内弘文】米証券取引委員会(SEC)は19日、アクティビスト(物言う株主)の著名投資家カール・アイカーン氏が、同氏率いる上場企業アイカーン・エンタープライゼズ(IEP)の株式を個人の信用取引の担保として差し入れながら情報開示していなかったとして同氏に50万ドル(約7300万円)の罰金を科した。

法人としてのIEPにも150万ドルの罰金を科した。アイカーン氏、IEPはともに罰金支払いでSECと合意している。アイカーン氏は同社の会長を務め、年次報告書によると2月末時点でIEPの発行済み株式数の約86%を保有する支配株主だ。

SECの資料によると、アイカーン氏は2018年末以降、IEPの発行済み株式数の51〜82%を担保に数十億ドル相当の信用取引を個人で実施していた。IEPは年次報告書でアイカーン氏による株式の担保提供を開示しなかった。

ロイター通信によると、空売りで知られる調査会社ヒンデンブルグ・リサーチが23年にIEPの空売り推奨のリポートを公表したことがSECの調査につながったようだ。

ヒンデンブルグは、IEPが保有株を過大評価して配当金を支払う「ネズミ講」のような仕組みを取っていると非難し、アイカーン氏の信用取引の実態についても疑問を呈していた。アイカーン氏はロイター通信に対し、今回のSECの調査結果によって空売り勢の「軽率で裏付けのない」非難を終わらせることができたとコメントした。

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