28日、和歌山県橋本市の河川敷に、アメリカ軍のヘリコプター3機が不時着しました。
ヘリコプターは、日米共同訓練に参加し、撤収する途中だったということです。
■河川敷に米軍のヘリコプターが 日米共同訓練の撤収中に3機不時着
28日の朝、和歌山県橋本市の住宅地の上を飛んでいた大型・小型あわせて3機のヘリコプターが河川敷に着陸しました。
【目撃した人】「すごい爆音がして、お店のドアがガタガタ震える感じになったので、何が来たのかなと空を見上げたら、すごい低空でヘリが旋回して着陸した。(米軍機の着陸は)初めてですね」
【目撃した人】「あまりそういう低い所を飛ぶのは、この辺りではないです。(Q.明らかに違和感を?)感じました」
機体には「アメリカ陸軍」の文字が見てとれます。
近畿中部防衛局によると、3機のヘリコプターは日米共同訓練に参加して三重県の明野駐屯地から撤収する途中で、大型機1機の警告灯が点灯。
近くに空港がなかったため安全を確保した上で河川敷に着陸したということです。
現場に駆けつけた消防隊員は、翻訳アプリを使ってヘリの乗組員に話を聞いていました。
【橋本市 消防本部橋本消防署 板垣友勝班長】「1機にトラブルがあって、ここに止まっているということで、けが人などはいないという内容がありました」
その後、ヘリの乗組員が機体を目視で点検したところ異常がなかったため、およそ2時間後に離陸。
けが人はおらず、周辺の住宅への被害も確認されていませんが、近隣に住む人は…。
【近隣住民】「不時着の件は仕方ないにしても、普段ヘリが飛ばない街なので、『ヘリが通過するよ』と一言あれば安心なのかな。ご老人が皆、心配すると思うので、そこだけしっかりすればいいと思う」
今回の不時着について、防衛省から事後に連絡を受けた和歌山県。
今後、このようなことが起きた場合は、すみやかに情報提供を行うことなどを、アメリカ軍に要請するよう近畿中部防衛局に求めました。
【和歌山県 河野眞也危機管理部長】「住民の方が、普通にいるところに緊急に降りるということであれば、われわれとしては憂うところですので、まずそういったことが起こらないように、日ごろの飛行機などの安全管理をきちっと、まずしていただくことが大事。そう言いつつ、何かが起きることもあり得ますので、そういったときには、速やかに情報提供をいただきたい」
■「国が防衛に力入れれば“米軍機によるトラブル”が増える懸念も」と専門家
近隣樹民の方は大変驚いたと思いますが、住民は事前に知ることはできないのでしょうか。
専門家に聞きました。
元運輸安全委員会統括航空事故調査官の楠原利行さんによると、「緊急時の不時着は、事前通報の義務はない」ということです。ただ、「米軍はトラブルの詳細を調査し、報告するべきではないか」と指摘されています。
さらに、「今後、国が防衛に力を入れれば、“米軍機によるトラブル”が増える懸念もある」とのことです。
今回の事案は緊急事態として仕方ないとしても、これから同じようなことが増える恐れがあるのは不安です。
【共同通信社 編集委員 太田正克さん】「実は背景には岸田政権化で進んだ日米同盟の軍事的な一体化。実は異次元の一体化が進んでいます。28日も東京で『2プラス2』と呼ばれる日米の防衛外務の閣僚会合がありましたが、そこで日米同盟はこれから中国・北朝鮮・ロシアを抑止する、対処するために、防衛力をより一体化させていこうという合意をしています。そうなると日米の合同演習は増えざるを得ない。加えて、おそらく同志国と呼ばれるオーストラリア、イギリス、フィリピン、こういったところも一緒に訓練をやっていこうとなりますから、どうしても必然的に訓練が増えれば、こうした潜在的なリスクやコストは高まらざるを得ないということです」
もし今回のトラブルの詳細を米軍が公表しなかったとすると、日本が働きかける必要はあるのでしょうか。
【共同通信社 編集委員 太田正克さん】「絶対的に必要だと思います。防衛は国民の信頼なきところには、防衛力というのはありません。やっぱりきちんと説明責任を日米両政府が果たすと。アメリカも周辺住民はじめ不安を抱かれる住民の方に、リスクがあったこと、こういう事故があって、どういう背景だということを、きちんと説明することによって、初めて防衛に対する国民の信頼が勝ち得ていくことになりますから、岸田政権は単に一体化を進めるだけではなくて、きちんと国民にも説明をしていくことが何より大事だと思います」
安全保障、米軍の果たす役割は大きい一方で、問題が起きないように国も毅然とした対応が求められます。
(関西テレビ「newsランナー」2024年7月29日放送)
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