(ブルームバーグ): 男女間の賃金格差は当面続くとみられ、所得格差が収束しつつあるというトレンドに基づく予測とは相いれないことが、最近の研究で明らかになった。
経済政策研究センター(CEPR)が発表した調査結果によると、ほとんどの高所得国において1970年代半ばから2000年代初頭にかけて賃金格差が縮小したのは、労働市場に参入した男女間の所得格差が縮小したためだ。
米国とイタリア、カナダ、英国に焦点を絞った研究で、エコノミストのハイメ・アレラノボーバー、ニコラ・ビアンキ、マッテオ・パラディジ、サルバトーレ・ラッタンツィオ4氏は、2000年代に入ると収束が止まり、その後の収縮はもっぱら賃金格差の大きい高齢者層の退職に依存しているとの見解を示した。
「さらに残念なことに、1990年代半ばまで続いた参入時の格差収束は、若い女性の見通しが改善されたことによるものではなかった。むしろ、若い男性に不釣り合いなほど悪い結果がもたらされたことが原因だった」と指摘した。
若い男性は特に賃金の高い企業で大きな「地位の喪失」を経験した。米国の賃金分布で見た25歳男性の平均賃金は、1976年の50パーセンタイルから95年には39パーセンタイルに低下した。同じ年齢層の女性は30パーセンタイル前後で停滞している。
収入格差の決定要因は、依然として男女の教育選択だ。調査によれば、米国の大卒者が就職する際の男女間の賃金格差の約63%は、大学での専攻に起因しており、どの年齢層においても一生を通じて格差が縮小することはない。
これは将来の賃金格差にとって悪い予兆だ。
4人のエコノミストは「労働市場の構造が解体されない限り、男女間の賃金格差は、最近労働市場に参入した人の間で見られた水準に収束するのが精いっぱいで、その格差はなお経済的に大きい。この研究から高所得国では男女間の賃金格差はなくならないと予想する」と論じた。
原題:Gender Pay Gap Might Never Disappear in US and UK, Study Shows(抜粋)
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