「豪言壮語(ごうげんそうご)」
=中国の言葉で、自信を持って大きなことを語ること。日本語の『大言壮語』は「実力不相応な大きなことを語る」という意味だが、豪言壮語は実力者が自信をもって語るときにも使う。

「Bリーグ2050ビジョン」発表 ビジョンは「感動立国」

6月末、報道陣やパートナー企業を集めて行われたBリーグの発表会。Bリーグの島田慎二チェアマンが、自信たっぷりに大きなことを語りだしました。

Bリーグ 島田慎二チェアマン:
ちょっと先の未来を見据えて、そこから逆算して、改革をどう押し進めるべきか考えるべきだろうと起草しました。

その“逆算した未来”がこちら。

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全国47都道府県にクラブを作り、総入場者数をいまの452万人から700万人に増やし、事業規模は800億円へ拡大、Bリーグ出身のNBA選手を5人誕生させ…。

次々と公表された数値目標。プロスポーツとしては、異例の中期経営計画です。今から4年後の2028年に、これらをすべて達成するといいます(NBA選手輩出数だけは2030年達成を目指す)。

さらに、この数字を達成した先にある将来像を示した「Bリーグ2050ビジョン」も一緒に発表されました。

キーワードは「感動立国」という耳なじみのない言葉でした。

Bリーグ 島田慎二チェアマン:
ワクワクするような、心触れるような感動を通して、この国が明るい未来に繋がっていく。そんな一助になれたらとの思いを込めて、「感動立国」というビジョンを設定させていただきました。

Bリーグ 島田慎二チェアマン

島田チェアマンは「感動」という言葉の定義を「果敢に挑戦し、困難に立ち向かい、乗り越えた先に掴み取れるもの」としています。

バスケットボールは、五輪やワールドカップなどの国際試合での注目はもちろん、Bリーグのチャンピオンファイナルの試合も超満員となるなど、今や人気スポーツのひとつとなっています。しかし、Bリーグ発足までは、かなりのマイナースポーツでした。

そんな時代が長く、簡単な道のりではなかったバスケだからこそ、明るい未来を信じて「感動」を生み出せると信じていると言います。

Bリーグ2023-24. B1チャンピオンシップ ファイナルは超満員

そして、具体的にイメージをしやすい「感動立国」の形として、2つの目標を掲げました。

Bリーグ 島田慎二チェアマン:
日本でナンバー1のプロスポーツリーグになります。今、野球とサッカーの下かもしれませんが、25年後にBリーグがトップになる。そしてもう1つ、NBAに続く世界第2位のリーグになります。

Bリーグに関わる全ての人に「夢」と「羅針盤」を

中期経営計画の具体的な数字を読んだ後だと、「ナンバー1って随分とあいまいで、こんなので良いのかな?」と、不思議に思った人もいるのではないでしょうか。

入場者数で超えようと思っても、大人数収容のスタジアムで試合をする野球やサッカーに比べて、アリーナや体育館で試合をするバスケは圧倒的に不利。試合数の違いなど考えると、事業規模などで上回るのもかなり無理があります。

何をしたら「ナンバー1」を達成したことになるのか、島田チェアマンも明確な基準は持っていませんでした。

Bリーグ 島田慎二チェアマン:
2050年に「今日本のスポーツで一番イケてるの、どこよ?」って聞いたら「Bリーグ」という数が一番多い状態が、最もフィットするかな。

実は、ビジョンとしてはこれが正解。「経営ビジョン」と「経営計画」では役割が違い、今回の発表は、それをきちんと踏まえたものになっています。

「経営ビジョン」とは、将来のあるべき姿・ありたい姿を表現したもの。夢。
「経営計画」は、ビジョンを実現するための道筋を明確にするもの。羅針盤。

ビジネスをきちんと進めていくには、この両輪が必要です。

「経営ビジョン」があれば、夢の共有化ができて、一体感が生まれる。
「経営計画」があれば、個々人に自覚が生まれ、対外的な信用力も向上する。

しかし、様々な会社や組織で、どちらかが抜け落ちたり、意識しなくなったりしていることがあります。すると、「夢に向かって突き進んでいるが、意味のない仕事ばかりしている」(経営計画不在)、もしくは「目の前の数値目標をこなすだけで、やる気が出ない」(経営ビジョン不在)といった危険な事態に陥ってしまいます。

Bリーグに関わる全ての人が「夢」と「羅針盤」の両方を持った状態になって、空回りせずに進めるようにすることが、今回の目的だと言えます。

「豪言壮語」か「大言壮語」か…Bリーグの“新たな挑戦”

そうは言っても、ビジョンや経営計画が、あまりに実力からかけ離れた“大言壮語”だった場合は、一体感はなくなり、やる気もなくなり、信頼を失うリスクもあります。

島田チェアマンも、そこは悩んだと言います。

Bリーグ 島田慎二チェアマン:
おそらく「何言ってんの?」とか「難しいんじゃないの?」みたいな感覚もあるかもしれませんけど、実はそういう状況も重々覚悟の上で、熟慮の末に決定したワードでございます。パートナーの皆さんも、Bリーグがどんな世界を考えていて、どのぐらいの数字をイメージしているかが分からないと、どこまで一緒に組んでいいのか、わからないだろうと。

ビジョンと経営計画で目指した世界。それは「Bリーグやバスケット界の成長発展」というレベルを超えたと強調しました。

Bリーグ 島田慎二チェアマン:
スポーツ界の概念に囚われないで、Bリーグは日本社会に貢献していく、もっともっと、日本社会が良くなることに寄与していく覚悟を持って、発表させていただきました。

「豪言壮語」か、「大言壮語」か。
感動立国に向けたBリーグの新たな挑戦が、大きなかけ声とともにスタートしています。

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