4Pと呼ばれる持続可能な農法を促進させることでカカオを守る FERLEY OSPINAーBLOOMBERG/GETTY IMAGES

<密輸や環境破壊でカカオ不足が深刻な事態に>

チョコレートの主原料であるカカオ豆の価格高騰が止まらない。3月26日、先物価格が史上初めて1トン当たり1万ドルを超え、4月2日には1トン当たり1万294ドルという歴史的な高値を付けた。

背景には、カカオの二大供給国である西アフリカのガーナとコートジボワールでカカオの供給が逼迫していることがある。これが、地元農家から世界の消費者にまで影響を与えている。

ガーナ国内のカカオ豆の生産・流通管理を行う「カカオボード」が今年1月に発表した報告書によると、供給量が激減した主な要因は、コートジボワールやトーゴといった隣国へのカカオ豆の密輸だ。さらに、金の違法採掘が急拡大し、採掘者たちがガーナのカカオ畑を破壊したことも原因だ。

また、カカオ樹木が老齢化し生産できなくなった農園では、樹木がカカオ腫脹性シュートウイルスの感染に悩まされている。この感染病はガーナの総樹木数の約17%に影響を与え、23%は老齢で瀕死状態にあり収穫できない。カカオボードは3月下旬、昨年からのカカオ収穫量が多くて42万5000トンという、22年ぶりの低水準に減少するだろうと発表した。

気候変動も打撃を与えており、「エルニーニョ現象は西アフリカのカカオ栽培や、インドやタイの砂糖生産に悪影響を及ぼす」と、米シラキュース大学のパトリック・ペンフィールド教授は語る。

今年から来年にかけて、世界の「カカオ不足」は前年の7万4000トンから37万4000トンに押し上げられ、世界のカカオ生産量は前年比10.9%減の、444万9000トンまで激減すると予測されている。

そんななか、カカオ生産やチョコ産業の未来を決めるのは、持続可能な農法を支援する取り組みだ。カカオボードは農家に対し、「4P(定期的な剪定、革新的な受粉技術、土壌への鶏ふん使用、病気に対する保護の強化)」を促進するよう助言している。

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