アシックスは12日、三菱UFJフィナンシャル・グループやロート製薬など自社が保有する政策保有株式を2024年中にすべて売却すると発表した。併せて三井住友銀行や三菱UFJ銀行などが保有するアシックスの株式も国内外で売り出す。海外の機関投資家などから日本企業の慣習として批判を受けてきた株式の持ち合いの解消を進める。
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日本企業は投資目的ではなく取引先などとの関係を維持するなどの狙いから政策保有株を持ち合ってきた。ただ、利益を生みにくく資本効率を悪化させることから海外投資家の批判が強く、23年に東京証券取引所が上場企業に資本コストを意識した経営を求めたこともあり、持ち合い解消の動きが進んでいる。
アシックスも協業相手のロート製薬やカシオ計算機、スポーツ関連小売業大手のイオンやゼビオホールディングスなどグループで25の上場企業の株式を保有してきた。12日に開いた取締役会で全ての政策保有株式の全売却を決め、24年中に実際に売却する。6月末時点の株価では、保有株の売却益は約70億円にのぼる見通しだ。
広田康人会長兼最高経営責任者(CEO)はかねて「海外売上高が約9割のグローバル企業として、資本市場でも先手を打つ必要がある」と話していた。今後も政策保有株は持たない方針だ。
12日には三菱UFJ銀行やノーリツなど国内15社が保有するアシックスの株式を売り出すことも決めた。合計で発行済み株数の11%にあたる8500万3900株になる。売り出し価格は今後決まるが、12日終値で計算すると約2180億円になる。アシックス側から金融機関や事業会社に政策保有株の売却を求めた。
損保や生保では損害保険ジャパンや明治安田生命がアシックス株を全て手放すかたちになる。このほか三菱UFJ銀や三井住友銀、みなど銀行など金融機関のほか、竹中工務店や上新電機なども売却する。23〜26日までのいずれかの日の終値から最大で1割の割引価格で売り出す。
株式売り出しの半分は米国など海外市場で実施する。アシックスの外国人株主比率は23年12月末の40.7%から約46%に高まるとみられる。アシックスは7月1日に1株を4株に分割し、個人投資家も買いやすいようにした。国内での売り出しは新NISA(少額投資非課税制度)などを活用した個人投資家の保有を期待する。個人投資家の比率も昨年末の9.6%から15%程度まで高めたい考えだ。
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