パワー半導体を製造するサンケン電気はこのほど、埼玉りそな銀行を通じて、埼玉大学に視聴覚機器などを寄贈した。同行が企業の私募債発行を引き受け、手数料の一部を活用して寄贈品を学校などに贈る「寄贈型CSR私募債」を利用した。埼玉大学(さいたま市)で4日、坂井貴文学長から両社のトップに感謝状が手渡された。

埼玉大学は埼玉りそな銀行とサンケン電気に感謝状を贈呈した(4日、さいたま市)

サンケン電気は2月、30億円の私募債を発行し、寄付先の一つに埼玉大学を選んだ。同大学の卒業生の多くが就職しており「社の中枢として多大なる活躍をしている」(高橋広社長)という。同大学に寄付講座を開設するなど、関係を深めている。

今回の寄贈を通じ、埼玉大学は総合研究棟に360度を映せるカメラやプロジェクターなどを導入したほか、オンライン機器も整備した。坂井学長は「大学の活動を発信する体制が整った」と感謝を伝えた。

埼玉りそな銀行の福岡聡社長はCSR私募債について「企業の利益が社会に還元されることで社会が発展していくことを目指す仕組み」と強調する。新1万円札の肖像画となった実業家、渋沢栄一が説く道徳経済合一の考えとも通じるといい、今後も力を入れる考えだ。

サンケン電気はCSR私募債を活用し、能登半島地震の被災地の石川県能登町と志賀町の小中学校にもテントやモニターなどを寄贈した。

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