日本政策金融公庫が6日発表した2024年3月期決算は最終損益が823億円の赤字(前の期は2687億円の赤字)だった。新型コロナウイルス関連の貸し出しが一服して関連費用が減り、赤字幅は縮小した。田中一穂総裁は中小企業を取り巻く環境について「物価上昇の影響や、人件費の引き上げ圧力の推移を注視したい」と述べた。
日本公庫は民間金融機関が信用保証協会による保証付き融資を実行する際、裏側で保証協会から保険を引き受ける業務を手掛ける。保険引受残高の減少に伴い、保険金の支払いに備えて積む保険契約準備金の戻入額を3043億円計上したことが赤字幅の縮小に寄与した。
貸出先の業績悪化に備える与信関係費用は3171億円と、前の期から666億円増えた。政府の資金繰り支援策が縮小するなか、物価高や人手不足が企業経営を直撃している。
コロナ関連融資の実行後の状況も同日公表した。21年3月末までの貸付先約70万件のうち、24年3月末時点で元金返済中が55.8%を占め、完済などは13.4%となった。返済が厳しくなって条件を変更したのは6.9%だった。
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