能登半島地震で最大で4メートルほど隆起した、外浦の海岸。漁港が使えなくなるなど様々な影響が出ていますが、この現状を逆手に取り金沢大学などの研究グループが世界で初めてとなる研究に乗り出しました。

リポート:
「輪島市門前町の鹿磯海岸です。大規模な地盤の隆起により、このあたり一帯の海底は全て陸となりました。その「元海底」だったところを掘って中の地層を調査し、海の成り立ちを探ろうという調査がいま行われています」

「はいはいはいずーっと…よし!」

6月3日から3日間の日程で調査を行ったのは、海岸工学が専門で金沢大学の由比(ゆひ)政年(まさとし)教授をはじめとするグループです。調査地域は、地震により地盤が最大で4m隆起したとみられる輪島市門前町鹿磯地区。新たに陸となった場所を重機で1m程堀り、地層の様子を調べました。


金沢大学・由比政年教授:
「地震によって、元々海底にあった地形が非常に短い時間、数秒のうちに陸上に出てきた」「その断面を切り取って様子を観察することによって、どういう形でこの地形が作られたのかという検討が進むと。このような大規模な形で海底地形の成り立ちを探ることが出来るのは非常に珍しい、世界でもおそらく初めてのことだと思います」

断面からはどんなことが分かるのでしょうか?

金沢大学・遠藤徳孝(えんどうのりたか)准教授:
「斜めの模様を「斜交葉理(しゃこうようり)」と呼んでいるんですけど、海側に傾斜しているものを見れば「岸から沖」に土砂が移動しているのが分かります」

一般的に嵐になると、土砂が「岸から沖」に流れ出すそうです。

金沢大学・遠藤徳孝(えんどうのりたか)准教授:
「上の部分は、斜めの向きが岸向きに傾いているんですけど、これは「沖から岸」に土砂が移動したことを表しています」

さらに…

金沢大学・由比政年教授:
「(今回の地震で)地盤が隆起して海水が持ち上げられて、それが沖の方に流れていったという水の流れがあったと思うんですけど、そのような影響がこちらに記録されていると…。今回の地震に伴う水の動きの影響なども解明が進むのではないかと思っていますが、これから他の大学の先生も交えて色々と議論を進めていくことになると思います」

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