福島県の県庁所在地・福島市の顔となる駅前再開発ビル。福島市は5月29日検討を重ねた計画を議会に説明。施設の機能や具体的な規模感が示された中で、財政への負担に厳しい指摘の声が上がった。

29日午後3時に開かれた福島市議会の全員協議会。
福島市の木幡市長は「商業縮小、ホテル見送りをせざるを得ず、テナント交渉過程で福島市の街中は日常的な人流が少なく、大きな民間投資を呼びかける魅力、都市としての魅力が乏しいことを痛感しました。今回の見直し案は人を呼び集め、居住や就業などの常在人口を増やし、回遊性を高める効果を有するものであり、特に日常的に人を呼び集めることには大きなインパクトを与えると考えております」と説明した。

JR福島駅東口に計画される再開発ビル。市議会に説明された案では、公共施設が4階建て、民間施設が10階建てなど具体的な規模が示された。
当初、2026年度中にオープンとされていたのは、ホテルやショッピング施設、マンションなど公共と民間が一体化した13階建ての大規模な施設。しかし、資材費の高騰やテナント交渉の難航などを背景に公共と民間の切り離しや縮小が決定していた。

これまでに「再開発ビルへのホテルの撤退」や「民間エリアは飲食店中心」「本格的な劇場は見送り」といった内容が示されてきたが、29日改めて「身の丈に合った計画を早期に進める」として、再開発ビルの具体案が公表された形だ。
議員からは「ホテルまた商業施設、こういったものが入らない、こういったことが一番大きな原因だったと私は認識しています。これ以上民間の方がご負担しなければならないならやめた方がいいんじゃないんですか?」「どのような役割が期待できるのかがいまいち分からない」といった厳しい意見が出た。

また、再開発ビルの全体事業費が550億円から570億円と見込まれるなか、市の負担は当初計画の約190億円から大幅に増え250億円から270億円に。
この負担に、議員からは「やりたいことが見えてこない」「市民からの理解が得られるのか」との声が上がり、市と再開発組合は当初の見通しの甘さがあったと謝罪したうえで、街なかの空洞化を防ぐための早期着手を訴えた。

福島駅東口地区市街地再開発組合・加藤眞司理事長は「テナント誘致は・・アパレル関係それがどんどん減ってきて難しくなって、経済的な形で運用できるようにやっていきたいと思っております」と話した。
福島市の木幡市長は、この計画案を基本的に進めるかとの問いかけに「そうですね、それに関しては特段のご指摘はあまりなかったのではないかなと思っています。とにかく我々分かりやすい説明をして、色々な機会を通じて市民の皆さんに説明していくことに尽きるかと思います」と述べた。

市と再開発組合は、今日の意見を踏まえて改めて詳細を検討する方針で、再開発ビルの完成は、当初の計画から2年以上遅れ早くても2028年度、オープンは2029年度と予定されている。

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