いわゆる2024年問題に伴う運転手不足を受けて、公共交通のあり方を抜本的に見直す方針を示している松江市は、有識者や交通事業者などからなるプロジェクトチームを立ち上げ、29日に1回目の会合が開かれました。「共同経営」も視野に2025年10月から新たな交通体系での運行開始をめざします。

松江市役所であった「プロジェクトチーム」の第1回会合には、交通事業者や利用者、行政、有識者の15人が参加しました。このプロジェクトチームは、運転手不足が深刻化する中、交通機関ごとの役割を見直し、より効率的な「公共交通のあり方」を検討するために松江市が立ち上げました。

松江市・上定市長:
今後のあり方を交通事業者の皆様とともに、いただいたご意見を踏まえて作りたいと考えている。

一畑バス・吉田伸司代表取締役:
松江市の皆さんには大変なご迷惑をおかけして、昨年減便をやらせていただきましたし、今年の10月には路線廃止ということもお願いをさせていただいる。

会合の中で、有識者が解決策の一つとして示したのが…。

(有識者)島根大学・飯野 公史教授:
共同事業会社も選択肢の一つという意識。

公共交通の「共同経営」という考え方です。従来、競合する交通事業者がダイヤや運賃を調整することは独占禁止法で禁止されていましたが、2020年の特例法の施行で、国土交通省の認可があれば路線バスについては「共同経営」が認められるようになり、重複する路線の見直しや地域ごとの運行のすみ分けなどを行えます。

この先進事例が熊本です。3年前から県内のバス会社5社で「共同経営」を開始。各社バラバラで設定されていたダイヤを調整するなどの効率的な路線運営により余力が生まれ、新たに路線を作ることも可能になりました。さらにそれぞれの会社のサイトで確認する必要があった時刻表についても2023年10月から一本化。出発地と目的地のバス停を入力すれば、その区間を運行している路線バスすべてを一つにまとめて表示するサイトを立ち上げ、利用者の利便性向上が図られています。

(有識者)呉工業高等専門学校・神田佑亮教授:
今ある交通を今後どれだけ使い倒すか。街の成長あるいは生活がより便利になるようにつなげていこうかということをみんなで考えることがポイントになると思う。

市は、「共同経営」も視野にそれぞれの公共交通を再編し、2024年10月から新たな交通体系での運行開始をめざしています。

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