ゴールデンウィークに高速道路を使っておでかけの読者も多いだろう。SA・PAなど休憩施設のトイレをより快適にするため、NEXCO中日本グループが新技術の導入を進めている。
ひとつは、スマートSAマネジメントシステム。このシステムは、IoT化されたトイレ内の環境や利用状況をセンサーで把握し、トイレットペーパーや水石鹸を適切なタイミングで補充することで、清掃の効率化を図る。これにより、利用者にとって快適なトイレ空間を提供する。駒門PA(上り)と西湘PA(下り)で2023年3月から稼働している。
もうひとつ注目なのが、狭小部清掃ロボットだ。小便器底面や便器下床面の清掃を自動で行ない、従来手作業だった清掃作業の負担を軽減する。ロボットはLiDARセンサーを用いて、障害物を避けながら清掃する。浜松SA(下り)では2024年3月に稼働試験を実施し、今後実証範囲を拡大していくという。
◆ICT技術を活用したトイレの維持管理
高速道路のサービスエリア(SA)におけるトイレの維持管理が、最新のICT技術を駆使したスマートSAマネジメントシステムにより効率化されている。このシステムでは、トイレの利用状況をセンサーで把握し、トイレットペーパーや水石鹸の残量を遠隔で監視することで、清掃や補充のタイミングを最適化し、作業回数の削減を意図している。
システムでは、トイレ内に設置された各種センサーからの情報をIoTクラウドに集約し、清掃員や維持管理従事者がタブレット端末を通じてトイレの状態をリアルタイムで確認できる。清掃員は現場に常駐しなくてもトイレを清潔に保つことが可能となり、維持管理従事者は収集されたデータを分析し、快適なトイレ空間の提供に向けた施策を検討できる。
このシステムは2022年度3月から、E1東名高速道路・駒門PA(上り)と西湘バイパス・西湘PA(下り)に試行設置された。その結果を踏まえ、センサーの仕様やデータ処理方法、表示画面の改善などが検討されている。
◆効率化と快適性向上をめざす高速道路トイレ清掃ロボット
NEXCO中日本は、高速道路の休憩施設におけるトイレ清掃作業の一部を自動化する「狭小部清掃ロボット(仮称)」を開発している。グループ会社の中日本ハイウェイ・メンテナンス北陸が手がけており、小便器下部の清掃を担う。
この取り組みでは、清掃作業の省力化と生産性の向上をめざす。高速道路のSAでは、エリアキャストが1日に1回の手作業でトイレを清掃し、定期的に見回っている。しかし、高齢化が進むエリアキャストの負担軽減と労働人口減少への対策が求められ、清掃作業の機械化が検討されている。
特に、小便器下部の清掃は負担が大きく、手鏡を使用して見えにくい部分を清掃する必要がある。この作業をロボットが担うことで、作業の効率化とエリアキャストの負担軽減が期待される。ロボットは、トイレ内に設置された充電ステーションから自動で出発し、小便器下部の汚れをブラシで清掃、尿石の付着防止や臭気の低減を図る。
ロボットの導入により、ロビー、洗面エリア、通路、小便器、個室トイレの清掃時間を約1割短縮できる見込みだ。現在、トイレは1日1回の清掃、その後は定期的な見回りで汚れを確認し、必要に応じて再清掃している。ロボット導入後は、清掃頻度の向上により、清掃レベルと快適性の向上が期待される。
ロボットは2021年7月に新東名高速道路・浜松SA(下り)で先行導入を開始し、その後2エリアに追加導入した。2023年11月までに試作4号機が開発されている。2024年3月にはマザー現場である浜松SA(下り)で試験運用を実施、想定の自律動作および清掃能力を確認した。6月以降に試験導入し、無人環境下(閉鎖トイレ)での実証を開始、性能や安全性などが確認でき次第、閉鎖していないトイレへ実証範囲を拡大するなど、本格導入に向けた検証を進める。2024年度内には、検証エリアを8か所に拡大し、清掃業務の効率化に向けたノウハウを蓄積していく計画だ。
さらに清掃作業の省力化をめざし、小便器や個室トイレ、多機能トイレ用の清掃ロボットの開発も進められているという。
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