2013年7月23日に登場した、Aクラスベースの4ドアクーペ、メルセデスベンツCLA試乗の様子をプレイバック。プロドライバーでもある自動車評論家 松田秀士がひと目惚れした(!!?)その実力とは。(本稿は「ベストカー」2013年10月10日号に掲載した記事の再録版となります)

文:松田秀士/写真:平野 学

■このスタイル、大ヒットの予感

ゴルフVIIやボルボV40、そしてAクラスやCクラスを喰いそうなCLA。色気とダイナミックなスタイルで、大ヒットしそうな予感がする

 Eクラスをベースに4ドアでありながらクーペのデザインを身にまとうCLSが登場したのが2004年。そして今度はAクラスをベースにした新型4ドアクーペのCLAが誕生した。

 ここ最近のメルセデスデザインは流麗でダイナミック、かなりイケていると思う。

 Aクラスベースなので、搭載されるエンジンやトランスミッションは同じ。直列4気筒1.6L直噴ターボと2L直4.直噴ターボエンジンの2本立てだ。これに7速デュアルクラッチトランスミッションが組み合わされる。駆動方式は当然、Aクラスと同じFFとなる。

 ただし、Aクラスがハッチバックなのに対してCLAはトランクスペースを持っている。メルセデスにとってCクラスよりも下のクラスに3BOXモデルが登場したことが興味深い。

CLA価格…CLA180(1.6L直4ターボ)=335万円。CLA250(2L直4ターボ)=459万円、CLA250 4MATIC(2L直4ターボ)=484万円、CLA45AMG(2L直4ターボ)=710万円

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■Cクラスより64万円も安い!

ボディサイズはCクラスに比べ、全長が45mm長く、全幅が10mmワイド、全高が15mm低い全長4640×全幅1780×全高1430mm

 そこで気になるのはCクラスとの比較。なんといっても、エントリーモデルのCLA180は335万円。このデザインにしてこの価格、ちょっとありえないと思いませんか?

 ちなみにCクラスのエントリーモデル、C180の価格は399万円。う~ん、どっちがお得だろう?

 ボディサイズはなんとCクラスに比べ、全長が45mm長く、全幅が10mmワイド、全高が15mm低い全長4640×全幅1780×全高1430mmだ。

 室内スペースを比べてみると、後席のニースペースは充分にあるもののヘッドクリアランスは身長175cmの人が限度か?

 背もたれも心持ち立ち気味だし、座面長は若干短い。乗り降りでは頭を下げないとCピラーに当たる。しかしこれは美しいデザインとのトレードオフと考えるべし。ただし、トランクスペースはCクラスよりも30Lも大きい470Lだ。

デザイン優先のため、ヘッドクリアランスが少々気になる
トランク容量はCクラスよりも30L大きい470L

 出し入れがしやすい形状とはいいがたいが、しかし独立したトランクスペースを持たないAクラスやゴルフ、そしてボルボV40に比べれば大きなアドバンテージだろう。

 メルセデスのトランクスペースはセキュリティレベルが高く一旦施錠してしまえばキーなしでトランクを開けることはできない。

 では、1.6L、直4ターボエンジンのCLA180から走り出してみよう。エコモードに設定してアクセルを踏み込むとストレスなくスルスルと加速。超低速からターボが効く感じだ。

 最大トルク20.4kgmは1250rpmから発生するのだが、なるほど、スペックが示すとおり、極低速から力強く加速する。

 これが2LエンジンのCLA250だと1200rpmで35.7kgmを発生。その加速レベルはやはり1.6Lモデルとは一線を画すレベルのものだ。

 シフトアップもスムーズでアクセルペダルの踏み方に合わせたシフトチェンジを行ない、しかもデュアルクラッチだからダイレクト感がありステアリングを握ったままのスポーティなパドルシフトもしっかり楽しめる。

リアビュー

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■最も驚いたのは乗り心地のよさ!

ルーフラインからなだらかにつながるリアエンド、CLSにも似た独創的なテールランプがアグレッシブ。Cd値はAピラーの形状や角度の最適化、流線形のドアミラーハウジングなどで量産車の最高水準、0.23を達成

 さて、CLAで最も驚いたのはその乗り味。室内がとても静かで乗り心地がいいのだ。

 これは、Aクラスをベースとしながらもリアサスペンションを専用設計しているから。適度に締まりを持たせているからスポーティさも併せ持っている。電動パワーステアリングの設定もほどよく低速域では軽く、高速域ではしっかりと重くなる。

 都内など市街地での走りはAクラス並みの軽快感を持たせながらCLAという名にふさわしい静けさがキャビンを包み込む。

 ところで、気になるエコレベルだが当然アイドリングストップ機構を備えている。しかも、このマネージメントがすばらしい。

 例えば信号待ちで前車に続いて停止したとしよう。当然そこでアイドリングストップ。しかしその後前車が少し前進したので合わせて前進。もちろんエンジンはかかる。

 並みのアイドリングストップなら停止してもそのままエンジンはかかったままだけれども、CLAはどのような状況でも再度アイドリングストップをしてくれるのだ。

Aクラスとほぼ共通のコクピット。立体的なダッシュボードやチューブデザインのメーターパネル、丸型エアアウトレットなどデザインがいい

 CLA180のJC08モード燃費は17.4km/L(C180は14.4km/L)と、高速域での燃費もかなりよさそうだ。追突のリスクを軽減するレーダー型衝突警告システム「CPA」や疲労や眠気を検知して注意を促す「アテンションアシスト」を標準装備。安全への配慮はメルセデスならではだ。

 ゴルフやV40、あるいはCクラスの購入を考えている人がCLAに変えるという人も出てくるのではないかと思う出来だった。

メルセデスベンツCLA180・250主要諸元

(写真、内容はすべてベストカー本誌掲載時のものです)

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