人気旅行先ランキング上位の常連で、有名スポットに至っては国内インバウンド入り混じって揉みくちゃカオスな状況に陥る機会も多々あれど、何だかんだで最後には物凄く楽しい思いをした余韻に浸れる観光地といえば沖縄だ。

文・写真:中山修一
(沖縄の交通機関にまつわる写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)

■遠かれど身近な南の島

訪れる度にワクワクが広がる「沖縄」

 大小様々な島で構成されている沖縄県。一口に「沖縄」と言うと、県庁所在地のある沖縄本島の那覇を指すことが多いかもしれない。

 那覇までは東京から約1,550km。毎日各方面から那覇行きの旅客便が飛んでいて、他県から遠く離れた位置関係の割にアクセスしやすい場所に思える。

 沖縄県の面積を見ると、資料によって差異があるものの、県内にある全部の島を含めて約2,280平方キロメートル。これは東京都の約2,200平方キロメートルよりも少し大きい。

 沖縄本島のみなら1,210平方キロメートルほどで、最も面積の狭い都道府県にあたる香川県の約1,877平方キロメートルより小さくなる。

■魅力あふれすぎる観光地

 昔から、海遊びを筆頭にご当地グルメ、買い物、史跡巡り等々、大型観光地としての一面を強く持っているのが沖縄本島の特徴であるのは周知の通り。

鉄板メニューは外せない

 一度行ったら二度三度、たま〜に行きたいと思わせる習慣性の高さもまた沖縄の魅せるところ。

 ちょうどそんな気分にさせられて、2024年の11月に現地の様子を見に行ってみると、一連のコロナ騒ぎを経て、今やすっかり元通り……

 ……というよりも既に元を通り越して、個人から団体・修学旅行、インバウンドが組んず解れつ、あらゆる観光需要の受け皿役を担ってフル稼働中な印象を持った。那覇の吸引力ってスゴイなぁ。

■どれを選べる? 現地の足

 さて、沖縄本島に観光で訪れた際、確保しておかないと何も始められないのが、現地での移動手段だ。

 沖縄は言わずと知れたクルマ社会。県内には約121万台の自動車があるそうで、全国ランキングで見ると25位になる。

那覇をとりまくクルマの流れは大都会の様相

 ランク的には平均と思えるポジションながら、1台あたりの人口比で見ると1.21という数値が出る。

 東京都が3.20、大阪府は2.29、神奈川県が2.27であるのに比べると、沖縄はおおむね「自家用車は一人1台」な県と考えて良さそうだ。

 それくらい自動車普及率の高い沖縄ゆえに、観光客でもまず検討する移動手段といえばレンタカーだろう。

空港ターミナル前にレンタカー店の送迎車がズラリ

 沖縄県に登録されているレンタカーの数は約51,000台で、都道府県別で全国8位の規模。ただしここから乗用車だけを抽出すると約44,000台。これは東京都の約49,000台、北海道の約47,000台に続く第3位に入る。

 北海道と似た要領で、観光目的を見込んだ(と、思われる)乗用車のレンタカーの数が全国的に物凄く多いのもまた、沖縄ならではの特徴かもしれない。

 那覇空港へ降り立つと、バスの発着場の奥にレンタカー会社への送迎バスの乗り場が別途用意されているのに圧倒される。

出会うと嬉しい!? 中型路線車を使用したレンタカー店専用送迎バス

 各社のあらゆる送迎車がひっきりなしに出入りする、他ではあまり見かけない光景が広がっているので、那覇のレンタカー需要はかなり大きいと見た。確かに街中歩いていると“われナンバー”めちゃくちゃ見るもんね。

■沖縄ならではの公共交通機関事情

 なにも移動に必ずレンタカーを使わないとダメという決まりはないので、公共交通機関を足代わりにする手はもちろんある。沖縄県ならではの公共交通機関の特徴としては、まず「鉄道」がないということ。

那覇市街周辺と主要観光スポットへのアクセスにはモノレールが役立つ

 那覇空港をはじめ、各主要観光スポットの近くにモノレール(ゆいレール)は通っている。ただしこちらは路面電車と同じ軌道法に基づいているため、法的に見ると鉄道とはまた違う種類の乗り物だったりする。

 沖縄のモノレールを構造的に注目した場合、コンクリートの軌道の上に車両を乗せる跨座式を採用している。どうやって前後に進むのかと言えば、ゴムタイヤを軌道に密着して回転させる仕組みだ。

■国内でも有数のバス大国!!

 ゆいレールが結ぶ那覇空港〜てだこ浦西間、およそ17kmの区間ではカバーしきれない場所へ行きたい……そんな時に頼れる、タクシーを除いた唯一の公共交通機関がバスになる。

ゆいレールの終点になっている、てだこ浦西駅と駅前ロータリー

 2024年3月のデータに基づくと、沖縄本島には11の乗合バス事業者が運営しており、全部で743台のバス車両が各所で活躍中だ。

 沖縄本島には高速道路があり、行き先に応じて一般路線バスと高速バスどちらも選べる。那覇周辺のバス路線図だけを見ても膨大な路線網が広がっていて驚かされる。

 かなりのマクロレベルまで、きめ細かく路線バスがカバーしている場所というのも大変珍しく、沖縄は国内でも有数のバス大国に思えてくる。

沖縄の路線バスは広域公共交通の要

 むしろ路線の数が多すぎて、自分の行きたい場所へ向かうバスを探すのが大変というデメリットが自ずと生じている感もあるにはある。

 初見で足代わりに使うのは難易度が高すぎるかもしれないが、一旦覚えてしまえば物凄く重宝しそう……それが沖縄バス事情の第一印象といったところ。その路線バスを使おうとした話はまた別の機会に。

 沖縄での地上の移動手段をおさらいすると、観光ならもっぱらレンタカー、モノレール、バス、それとタクシーのいずれかを選ぶ形になりそう。

 いずれにせよ、ゴムタイヤで走る乗り物しかない、という点もまた、沖縄特有の交通事情に思えて興味を誘われる。

テーマパーク内のアトラクションであれば、鉄のレールを走る乗り物も沖縄になくはない

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