思わず“軽”団連などと変換ミスのままにしたほうがしっくり合いそうな「財界総理」の後任選びである。「財界の総本山」とも呼ばれる経団連が2025年5月に退任する住友化学出身の十倉雅和会長の後任に、副会長の筒井義信・日本生命保険会長を起用する方針を固めたという。
きょうの日経が1面トップ記事で報じているほか、各紙も「経団連会長に筒井氏、日本生命会長、金融機関から初」などと取り上げている。
経団連と言えば、これまでは東京電力の平岩外四氏と経団連事務局の植村甲午郎氏を除くと、新日本製鉄やトヨタ自動車、東レ、日立製作所など、いわゆる重厚長大の製造業出身者が会長に就くケースが多かった。今回のように金融機関から経団連会長を選ぶのは初めてであり「製造業を軸としてきた経団連の政策立案が変わることを示す象徴的な人事となる」(日経)とみられる。
筒井氏は、1954年生まれの70歳。京大経済学部を卒業後、1977年に日本生命に入社。経営戦略を立案する企画畑が長く、11年に社長に就任。18年4月から現職の会長を務めているが、15年の三井生命保険(現大樹生命保険)の買収を主導し、国内生保事業の収益基盤の強化を進めるなどの手腕を発揮したという。
一方、経団連では23年から副会長に就任し、政府が主導し、脱炭素社会に向けて設立したGX(グリーントランスフォーメーション)戦略の中核機関となる「GX推進機構」の初代理事長にも就いている。
国内では依然、物価上昇が収まらず、1月には米国のトランプ次期政権が発足し、国際関係の急変も予想される中で、読売によると「筒井氏の発信力や調整力が問われることになる」とも伝えているが、昨今、地盤沈下が激しい経団連の組織改革にどこまで踏み込めるのかも問われそうだ。
2024年12月17日付
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