車体を2つ、接続部分で折れ曲がるように繋ぎ合わせ定員を増やした「連節バス」。バスの中では異端の存在だった連節バスも、2010年代後半くらいから、あちこちの都市部で見かけるようになってきた。ところでその連節バス、最近はどこのメーカー/ブランドで出しているクルマが使われているだろうか。
文・写真:中山修一
(各社製連節バスの写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■日本のメーカーでも作ってます!! 〜いすず&日野〜
全長18mと非常に長い車体を持ち、走れる道が限られていたり、運行に特別な許可が必要であったりと、通常の路線バス車両とは毛並みがだいぶ異なる連節バスであるが、最近は日本のメーカーでも製造している。
いすゞ自動車による「エルガデュオ」と、日野自動車の「ブルーリボンハイブリッド連節バス」がそれにあたる。
昔から大型バス車両を手がける、日本を代表する2大バスメーカー(ブランド)が、ともに2019年から発売を始めた。国産連節バスではこの2車種が初。
2軸+1軸の2車体永久連結式で定員は119名。車種名にもあるように、エルガデュオ/ブルーリボン共にハイブリッド方式を採用している。前面のデザインは角目2灯ヘッドライト、フロントガラス2枚の構成。
車体の屋根に“コブ”が3つあるのも外見上の特徴で、コブの中に入っている機器の内訳は、前からハイブリッド用のバッテリー、クーラー、連結部分を挟んでクーラーがもう一台だ。
また、エルガデュオ/ブルーリボン連節バスは共通設計のため外観がほぼ同じ。両車を見分けるのはかなり難しい(まずムリ、とも)のだが、一部バス事業者では、車体前方にメーカーロゴを掲示していることがあり、その場合はロゴが識別ポイントになる。
エルガデュオ/ブルーリボン連節バス共に、全国各地の都市部を中心としたバス事業者で幅広く使われている。
連節バスで「角目2灯」は2024年10月時点ではこれしかないので、ヘッドライトを見て角目2灯なら、その連節バスはいすゞ/日野製のいずれか、と判断すれば大体OK。
■連節といえば外車でした 〜ボルグレン/スカニア〜
日本のメーカーが連節バスを製造・発売したのが2019年。しかしそれ以前も連接バスを運行しているバス事業者は存在した。車両をどうしていたのかと言えば、連接バスの先駆者である海外メーカー製を輸入していた。
今日でも使われている海外メーカーの連節バスに「ボルグレン」がある。ボルグレン社はオーストラリアで活動しているバスの車体メーカー。
日本仕様のボルグレン製連節バスでは、「オプティマス」という種類のボディデザインを使用している。車体とシャーシとでメーカーが異なり、シャーシはスウェーデンのスカニア製だ。
定員130名程度。ライトケースの“下まぶた”に相当する箇所に、小径の白色LEDが21個並んだ吊り目ヘッドライトを持ち、フロントガラスは大型の1枚窓、少し丸みを帯びた顔立ちをしている。
また、車体後部に窓ガラスがなく、行先表示器と同じ高さの両脇にテールランプが付いているのも特徴。前後に「V O L G R E N」のロゴが入っている車両が多く、すぐ見分けがつく。
ボルグレン製の連節バスはレア度が少々高く、新潟市、京都府の精華町、福岡市で見ることができる。
■最も長い歴史を持つニッポンの連接バス 〜メルセデスベンツ〜
比較的初期の段階から登場して現在も活躍を続けているという点で、最も歴史ある日本仕様の連接バスメーカー(ブランド)と言えば、実はメルセデスベンツである。
メルセデスベンツ製の連節バスは、過去〜現在まで「シターロG」が一貫して使われている。現行車のスペックを見ると、カタログ値で最大定員164名までアレンジ可能とある。日本仕様車は定員130名程度が多い模様。
中でもシターロGは大柄で、車体の幅が日本の基準を5cmほどオーバーしているものの、特別な認可を得て公道走行の条件をクリアしている。車体後部にも全幅が2.55mある旨が明記されているので注目したい。
年式にもよるが基本的に吊り目系ヘッドライトと、1枚窓の大型フロントガラスの構成はボルグレンと似ているが、ベンツのほうが角張った顔立ち。さらに、おなじみのベンツマークが前後に付いているため、識別は凄く簡単だ。
特に長い歴史を持つだけあって、シターロGは今も全国各地のバス事業者で使われている。
最近の連節バスのメーカーを見ると、いすゞ、日野、ボルグレン/スカニア、メルセデスベンツ製のどれか、ということになりそうだ。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。