最近の営業マンは各々がスマホを持ち、SNSを駆使する現代社会では、電子メールやLINEを利用する方が、営業マンの印象が良いと感じるケースも増えている。この10年で、大きく様変わりをしつつある自動車販売業の営業現場。今回はニーズに合わせた活動の探求に、四苦八苦する営業マンを追いかけた。
文:佐々木 亘/写真:AdobeStock(トップ画像=Monet@AdobeStock)
■電話してくる営業マンは嫌われる?
自動車ディーラーのショールームに出向き、商談をしてアンケートに答えたら、もれなくついてくるのが営業マンからの営業電話だった。「だった」と過去形にしているのは、この動きが、現代の自動車販売業におけるスタンダードな動きではなくなってきているからだ。
商談をしてから3日以内には、営業マンからの電話が来ないと買う気にならない、営業マンの売る気が感じられない、などと思っているのはアラフォー以上の自動車ユーザーに多いと思う。
逆に最近の若い世代は、電話が来ることを鬱陶しく感じることも多いようで、営業マンから電話がかかってきたら、クルマを買う気が無くなるという声もあるほどだ。
若者側の意見では、メールやLINEなどのSNSであれば、自分の好きな時に相手の用件を見て、必要ならば返信すればいいのだが、電話になると必ずその場でその時間に出なければならないのが面倒というものが多かった。電話で営業活動されると、購入を即時に迫られているようで、いい気分ではないという。
こうした状況に、少々困惑しているのが、自動車ディーラーの営業マンたち。特に経験年数10年未満の若い世代の営業マンが、顧客と上司の板挟みにあっているらしい。
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■一斉電話作戦はもう古い
フレッシュな若手営業マンを管理・指導するのは、アラフォー以上のベテラン営業マン。彼らは、自分たちがやってきた売り方を若手に伝え、それを実行させようとする。しかし、若手営業マンには、これを良く思わない人もいる。特に強烈な電話営業に関しては、抵抗が大きい。
ディーラーにもよるが、現在でも1日30分から1時間程度、購入見込み客に対して「電話をする時間」(集中コールなどという)を作っているお店があり、上司の見ている前で電話をかけ続けなければならないことが苦痛で仕方ないと、ある若手営業マンは話す。
電話をかけても留守電になることがほとんどで、時々出てもらっても、非常に迷惑そうに話される。20代~30代のお客さんでは、ディーラーからの電話とわかると、以降着信拒否になるケースもあるという。
こういうお客さんとは、メールやLINEなどでやり取りをすることがほとんどのようだが、電話以外を営業活動とは認めない、頭の固い上司もまだまだ現場に残るようだ。毎日のように「電話はしたのか?」と聞かれ続け、メールなどでの営業活動を理解してくれない現状がある。
メールやSNSを使ったやり取りで、少しずつ受注を上げて成果を見せ、今の営業活動に理解をしてもらおうと、若い営業マンも必死だった。しかし、電話以外の営業活動が、まだまだ肌感になじまないベテランさんが、若者の前に立ちはだかっている。
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■見えない顧客とのやり取りに疲弊することも
こうした現状に対し、購入者側の私たちできることは、「連絡は〇〇で」とはっきり伝えること。アンケートなどに書けるのであれば、一言「今後の連絡はメールでお願いします」などと書き添えておくと、営業マンに対しても親切だ。
逆に電話が欲しい時には、「電話してね」などと一言加えておくといいだろう。連絡手段にやきもきするよりも、自分に都合のいい方法を提示する方が、よほど建設的である。
非常に便利で、今後は電話よりもメインの連絡手段として使われる可能性が高いメールやSNSの類だが、営業マンを苦しめそうな懸念点もある。それは、連絡している様子が見えにくいことだ。
さらに言えば、どこでも連絡できてしまうことも問題になっている。
昨今は、顧客からのメールやLINEでの要望に、24時間対応しているような営業マンも見かける状況。会社から支給される携帯電話には、LINEを入れるのが禁止されていて、顧客とのLINEを介したやり取りをプライベート用のスマホで行う営業マンも珍しくない。
これには、公私の区別がしっかりとできるように、会社側が問題を感じて、対応策に動く必要があると筆者は考える。
時代に即した営業活動の変化を見出し、変化によっておこる新たな弊害に対応する、これが、21世紀に必要な自動車販売業の姿であろう。電話とメール、営業マンからもらうなら、あなたはどっち派ですか。
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