最近販売されているモデルが増えている電気自動車であるBEV。そう言えば各メーカーがBEVの試作車やコンセプトモデルを造っていた時に話題となっていた技術がインホイールモーターだ。しかし、沢山のBEV市販モデルが登場した今、インホイールモーターは聞かなくなってしまった。その理由はなぜなのだろうか?

文:西川 昇吾/写真:ベストカーWeb編集部

■インホイールモーターのメリットとは?

あまり聞きなじみがないと思われるインホイールモーター

 そもそもインホイールモーターとは何なのか?簡単にだがそのシステムやメカニズムを紹介していこう。ざっくり言えば名前の通り、ホイールの中にモーターが配置されているモーターレイアウトのことだ。

 ホイールの内部やホイールから僅かに車体側にある位置にモーターを配置するといった具合が正確と言えるだろうか。

 インホイールモーターの最大のメリットはレイアウトの自由度だ。モーターが車体の外側近くに配置されるため、室内空間を始めとしたレイアウトの自由度が高くなる。

 また、左右、もしくは4輪で独立してモーターを制御することがやりやすいため、旋回時や低µ路での安定した走行に寄与することが出来る。

 更に、ドライブシャフトが存在しないためステアリングの舵角を90度近くにしながら駆動することが可能で、縦列駐車が楽々できるといったコンセプトカーでのデモンストレーションがあったのも懐かしい。

記事リンク

前の記事

ランエボMIEVは実現する!? 夢のインホイールモーターの「現在地」 電動化加速で再注目あるか

次の記事

「夢」は敗れたのか? まだ可能性あり??「インホイールモーター」の現在地

■インホイールモーターの採用が難しいデメリット

これは過去に三菱が「ランエボIX」をベースにつくった、インホイールモーター搭載車の試作

 しかし、インホイールモーターにも課題はある。それを克服する有効な手段が確立されていないが故に市販モデルへの採用がされていないのが現状だ。まずコストだ。

 BEVモデルではシングル、もしくはツインモーターが現在の主流となっているが、インホイールモーターならば駆動する車輪それぞれにモーターを用意しなければいけない。

 また「インホイール」な狭いスペースの中で高出力なモーターを作るのもコストがかかるポイント。更に言えば路面から巻き上げられる水に対する浸水対策や、ブレーキの近くに位置するという熱対策なども必要だ。

 更にバネ下重量が重たくなり、乗り心地や走行性能に悪影響を及ぼすという欠点もある。

 BEVはバッテリーの価格が高いため、どうしても車両価格も高くなってしまいがちだ。そうなると更にコストがかさむインホイールモーターの採用は難しい。バネ下重量など技術的にも超えなければいけない課題がある。

 ただ、ICEやハイブリッド車に比べたらBEVの進化はまだまだ序盤と言える。そう考えると再びインホイールモーターが登場する日が来るかもしれない。

記事リンク

前の記事

ランエボMIEVは実現する!? 夢のインホイールモーターの「現在地」 電動化加速で再注目あるか

次の記事

「夢」は敗れたのか? まだ可能性あり??「インホイールモーター」の現在地

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。