EVは気になるけれど、電池の劣化が不安という人は多い。そこでトヨタは、劣化状態を問わない電池のリユース技術に取り組んでいる。これが普及すればEVの価値が上がり、下取り相場にも影響するかもしれない。こりゃええじゃないの!

文と写真:ベストカーWeb編集部

■車載電池の劣化は評価が難しい

EVのバッテリーは車載寿命が尽きた後でも蓄電池として活用できる(The Stock Photo Girl@Adobestock)

 10月15日に幕張メッセで開幕した「ジャパンモビリティショー2024・ビズウィーク」で、トヨタがEVの価値向上につながる技術を展示している。題して「大容量スイープ蓄電システム」。

 EVが積む電池は、一定期間使ってEV用としては使えなくなった後でも、風力発電や太陽光発電向け蓄電池として活用できる。

 このため、EV電池の再利用が世界中で研究されているわけだが、問題は電池の劣化状況が一つ一つ違うこと。たとえば複数の電池を繋いで大きな蓄電池を作ろうとした場合、劣化が進んだ電池が性能の足を引っ張ってしまい、望む電力が取り出せない状況が発生するのだ。

 トヨタはこの問題に着目し、さまざまな劣化状態の電池を直列接続しても、劣化した電池が足を引っ張らないシステムを作った。

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■車載電池の劣化を気にしない時代が来るか?

スイープ技術の概念模型。さまざまな劣化状況の電池が混在しても大丈夫

 具体的には、直列に繋いだ各電池の通電と非通電をマイクロ秒の速さで切り替えることで、各電池からの充放電を任意に制御する。劣化しきって使えなくなった電池が出ても、それだけを切り離して交換できる。これを「スイープ技術」というのだそうだ。

 この技術はさまざまなメリットを生むが、我々クルマユーザーとしては、EVの電池劣化を気にする必要がなくなる点がうれしい。EVは電池の劣化が懸念されて、下取り価値が安く見積もられるケースが多いからだ。

 トヨタはすでに発電大手のJERAと連携し、四日市火力発電所でスイープ蓄電システムの実証実験に取り組んで、2023年には系統接続運転にも成功したという。BEVのリセールバリュー向上のためにも、ぜひとも普及させたい技術だ。

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