毎年ジャパントラックショーにユニークなトラックボディを出品する架装メーカーといえば、新潟の信濃車体製作所。今回は同社がジャパントラックショー2024に出品したスカニアベースの重機運搬車をレポート。油圧機器を一切使わない、独自の荷台傾斜システムに迫った。
文・写真/トラックマガジン「フルロード」編集部
※2024年9月発売「フルロード」VOL54より
前後エアサスのストロークで荷台を傾斜させる
信濃車体製作所(新潟市)は昭和21年(1946年)創業の車体架装メーカー。オーダーメイドのトラックボディを得意とする。2016年4月に新潟運輸グループの一員となっている。
同社は2年前にセノプロトラックスのデモカーとしてスカニアベースの重機運搬車を製作。その基本コンセプトを踏襲しつつ、同社独自のアイデアを盛り込んだフルオリジナル車として製作したが今回のスカニア重機運搬車だ。
ベース車両はスカニアRシリーズの車両総重量25トン級3軸低床6×2総輪エアサスシャシーのフルキャブ/ハイルーフ仕様(R410 B6X2LB)で、前後のエアサスのストロークを使って荷台を傾斜させ、重機の積み降ろしを行なうのが最大の特徴。
油圧装置を使わないので、巨大なキャブを持つスカニアでも国産重機運搬車と同じぐらいの荷台長や積載量が確保でき、コストも低減できるのだという。
新開発サイドバンパーなど独自装備を多数搭載
荷台はアオリレスの平ボディで、奥行き200mmの鳥居を取り付けた状態で国産重機運搬車と同等の有効荷台長9270mmを実現。厳密には後端の傾斜している部分が荷台にカウントされないため、登録上の荷台長は8700mmとなるが、重機運搬車としては充分なスペックだろう。
床を極力低くするため、サブフレームは縦根太に横根太を貫通させる井桁構造を採用。車体が少し後ろ下がりなのがデフォルトのため、床面地上高は前が1050mm、真ん中が1030mm、後ろが970mmとなる。取材車両の最大積載量は12500kgだが、軽量化すれば13500kgも可能という。
今回のスカニア重機運搬車には信濃車体製作所のオリジナル装備が数多く搭載される。後端の歩み板格納庫は同社の実用新案で、歩み板を持ち上げることなくセット、格納でき、ドライバーの腰の負担が軽減できるというスグレモノ。
床フックはヨーク社のイエローアンカーポイントと呼ばれるもので、360度回転できるため、荷造りがしやすいという。スイング式のアルミ製サイドバンパーは同社の新開発品で、スタイリッシュな外観と、少ない力でスムーズに開閉できる使いやすさを併せ持つ。
今回のスカニア重機運搬車は、欧州車のエアサスストロークが国産車よりも長いことに着目して開発されたもの。同社では同様に長いエアサスストロークを持つボルボベースの重機運搬車も検討しているとのことで、今後の動向に注目である。
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