当特集では、「理想のサウンドを追求する」というカーオーディオの楽しみ方について掘り下げている。今回はその最終回として「ケーブル」にこだわるというアプローチについて考察する。「ケーブル」で音が変わる理由から、超高級ケーブルの実際までを解説していく。
◆信号の質の低下は伝送中にも起こり得る。それを究極的になくすために…
さて、カーオーディオ愛好家のほとんどが、「ケーブル」にもこだわりを注いでいる。その理由は単純明快だ。「ケーブル」に何を使うかでも音が変わるから、だ。
「ケーブル」でも音が変わる理由は以下のとおりだ。ステレオ装置でより良い音を楽しもうとするときにポイントとなるのは、「音源に収められている情報をいかにロスなく再現できるか」、この一点に集約される。スピーカーもパワーアンプも、音源に収められている情報そのものの質を上げる機能は持ってはいない。送られてくる情報をいかにそのまま再現できるか、そこを目指して製品が設計され作られている。
で、信号の質の低下は当然ながら、伝送過程でも起こり得る。そのロスを究極的にゼロに近づけるべく、「超ハインエドケーブル」が作られている、というわけだ。
さて、「超高級ケーブル」とはどのくらいの価格なのか。国産ハイエンドカーオーディオケーブルメーカーの1つ、「M&Mデザイン」のラインナップを例に見ていくと……。
上級ラインケーブルの一例(M&Mデザイン・SN-MA3000)。◆「超ハイエンドスピーカーケーブル」を使うと、それだけで30万円超も必要に!?
なおカーオーディオにて使われる「ケーブル」には種類がいくつかあるが、まずはパワーアンプとスピーカーとを繋ぐ「スピーカーケーブル」で比較してみたい。ちなみに、もっとも廉価なカー用の市販「スピーカーケーブル」は、1mあたり200円程度だ。
対して「M&Mデザイン」のスピーカーケーブルのラインナップ中でのエントリーモデルの価格は、1mあたり780円(税抜)だ。当モデルでも市販品のもっともリーズナブルなモデルと比べて4倍の価格となっていて、性能も相応に高められている。
そして同社のトップエンドモデル『SN-MS9500 TheONE』の1m当たりの価格はなんと1万2000円(税抜)で、最廉価モデルと比べてざっと60倍もする。
ここまでの価格ともなると、「スピーカーケーブル」だけでどのくらいのコストが必要になるのかを試算してみよう。ちなみに「ハイエンド・カーオーディオ」ではフロント3ウェイ+サブウーファーというスピーカーレイアウトが敷かれることが多く、それらを「マルチアンプシステム」にて鳴らすこととなる場合がほとんどなので、そうであるとスピーカーケーブルは計7本が必要となる。1つのスピーカーユニットに対して1本ずつのケーブルが使われることとなるからだ。
で、外部パワーアンプをトランクに積んでいる場合にはサブウーファー用のケーブル以外は1本あたり5mほどが必要となることもあるので、必要な長さは計30mを超えてくる。仮に30mだったとすると、スピーカーケーブルだけで36万円の予算が必要となる。
上級パワーケーブルの一例(M&Mデザイン・SN-MP5400/SN-MP5800)。◆「超高級ケーブル」が高額なのはダテではない。他の機材の質が上がるほど違いは顕著に!
というわけで「ハイエンド・カーオーディオ」の世界では、「ケーブル」は単なる取り付け用部材ではなくもはや「ユニット」の1つというべきものとなる。
しかし、この価格はダテではない。1mあたり200円のケーブルとは、別次元のサウンドを手にできる。そしてその差は、他の使用機材のグレードが上がれば上がるほど大きく現れる。なので「ハイエンド・カーオーディオ」を実践している愛好家の多くは、「高級ケーブル」を使う。
また「DSP」と「外部パワーアンプ」とを繋ぐ「ラインケーブル」では、リーズナブルなものと超高級品との価格差がさらに開く。廉価なものは1mモデルで1500円ほどだが、同じく「M&Mデザイン」のトップエンドモデルは1mタイプで19万円(税抜)となっている。この価格差はざっと127倍にも及ぶ。ラインケーブルは微弱な状態の信号を伝送するものなので、質の違いがより大きく影響するという側面もあり、そして構造もより複雑になるので、価格差もより大きくなってくるのだ。
ここまでの超高級品は誰もが手にできるものではないが、音にこだわろうとするときには、このような「超高級ケーブル」を使うという選択肢も浮上する。覚えておこう。
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