軽くウインカーレバーに触れることで、3回もしくは5回ウインカーが点灯し、その後、自動で切れるワンタッチウインカー(メーカーによって名称は異なる)。ウインカーを戻す必要がないことから、利便性が高いとされていますが、ユーザーからは不評も多い装備でもあります。はたして、ワンタッチウインカーは本当に必要な機能なのでしょうか。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_ umaruchan4678/写真:Adobe Stock、写真AC
■便利とする声もある一方で、「いらない」「煩わしい」という声も
ワンタッチウインカーとは、ウインカーレバーを押し込まない範囲で、一度軽く触れることで、3回もしくは5回ウインカーが点灯し、その後、自動で切れるシステムのこと。戻す必要がないことから、手動でウインカーを戻す必要のある車線変更などの際に便利とされており、戻し忘れがなくなることも利点です。欧州で採用が始まり、昨今は国産車でも、高級車から軽自動車まで広く設定されています。ウインカーレバーを奥まで倒せば、通常のウインカーとして点灯し続けることも可能なので、場合によって使い分けることも可能です。
ただ、「便利」とするユーザーもいる一方で、「いらない」「煩わしい」という声も少なくなく、わずか数回しか点灯しないワンタッチウインカーで、割り込んでくるように自車の前に車線変更をされるとイラっとするという人のほか、ウインカー操作を誤ったときに恥ずかしいという、誤操作時の対処を指摘する人も。
こうした不満の声はメーカー側にも届いているのでしょう。昨今は、車種によっては、ワンタッチウインカーの点滅回数を変更できたり、ワンタッチウインカー機能をキャンセルできるものも登場しています。ただ、賛否両論ありながら、現在も採用は続いています。
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■「ウインカーは3回でいい」と誤認させることにも
法律的にも問題があります。道路交通法第53条では、「車両の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。」とされており、その合図を行う時期としては、道路交通法施行令第21条において、右左折や転回は30メートル手前、進路変更は行為をしようとするときの3秒前とされています。
ただ、ワンタッチウインカーが点灯するのは3回もしくは5回。3秒前にワンタッチウインカーを作動させると、場合によっては車線変更を開始する前に終わってしまう回数です。ワンタッチウインカーでは、3秒前から点灯させ、車線変更が終わるまで点灯させておくことは叶わないことになり、道路交通法を守ろうとすると、車線変更中に、再びワンタッチウインカーをやりなおす必要があります。
前述したように、設定を変更できる車種もありますが、3回もしくは5回しか点灯させない設定が、メーカー純正機能として採用されていることは、「ウインカーは3回もしくは5回でよい」という誤認をユーザーに与えることにもつながりかねず、これでいいのか、という疑問はあります。
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■車種によってはウインカーレバー自体が誤操作を招きやすくなっているものも
先日、SNSでワンタッチウインカーを左右に出しながら走り続けているクルマの動画が話題となっていました。左ウインカーを3回点灯させて左側車線へと車線変更をしたあと、すぐに右ウインカーが3回点灯したと思ったら、次は左ウインカー、さらに右ウインカーと、ウインカーが右往左往している様子は、おそらく点滅を消そうとしてワンタッチウインカーを反対方向へ操作してしまい逆に点滅、それを消そうとして再び逆に点滅、となったのでしょう。
車種はトヨタ「ライズ」(もしくはダイハツ「ロッキー」)でした。ライズのワンタッチウインカーは、点滅を消したい方向に押しこむことでキャンセルできるのですが、やっているうちに、ドライバーも混乱してしまったのでしょう。ライズのように、ウインカーを深く押し込んでも、定位置に戻ってしまうレバーリターンタイプのウインカーは、特に操作を間違えやすいので注意が必要です。
愛車であれば、慣れであったり設定を変えておくことなどで対処ができますが、レンタカーなどでは、そうはいかない場合もあります。便利な面もあるワンタッチウインカーですので、より使いやすい装備となるよう、今後の進化に期待したいです。
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