日本自動車工業会が会見を行い、二重課税などで高すぎる自動車税制の抜本的改革案を発表。排気量ではなく、車重ベースのシンプルな税金を求めるなど改革の3本柱などを示し、実現すれば多くのユーザーにとってメリットがありそうだ。ではバイクも軽いほど税金が安くなる? 会見で訊いてみた。

 

文/沼尾宏明 Webikeプラス

 

     

クルマの税制は今の時代に対応していない、自工会が抜本的見直しを要望

 JAF(日本自動車連盟)が毎年実施している自動車税制に関するアンケートでは、実に98%のユーザーが「クルマの税金に負担を感じる」と回答している。

 また、ユーザーは取得、保有、走行(燃料)の各段階で合計9種類、9兆円も納税しており、国の租税収入のうち8%も自動車ユーザーが負担しているのが現状だ。

 さらに自動車税制は古い体制のまま存続しているものも多い。購入時には、1968年に創設された旧取得税の名残りで、自動車税の環境性能割と消費税の二重課税が課せられている(二輪は除外)。

 保有時にかかる自動車税や軽自動車税は、排気量に応じて税金が上がる仕組みだが、排気量との関連が薄い電動車(EV)に対応していない。車検時に支払う重量税や、燃料課税のガソリン税に関しても、50年前の旧暫定税率が今なお残っているのだ。

 そんな中、自動車メーカーで構成される日本自動車工業会が2024年10月2日に会見を開き、自動車税制の見直しに関する改革案を明らかにした。

 政府が年末に定める令和7年度税制改正に、改革3本柱を含む抜本的見直しを要望する。その内容は、取得時の税を消費税のみとし、保有時は重量ベースの課税に一本化。「環境性能」に応じて負担を増減するというものだ。さらに自動車ユーザー以外にも公平にモビリティに関する課税を行うことを3本の柱とする。

 中でも大きいのは、重量に応じた自動車税。排気量に応じた現在の自動車税に対し、シンプルに車両の重さに応じて税金が高くなる仕組みで、これならEVにも公平に課税できるというわけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

     

残念! バイクは今回の要望に含まれず

 となれば、クルマより車重が軽いバイクは、より自動車税が安くなる可能性がある……? コンパクトな小排気量車はもちろん、大型クラスでも軽量なスーパースポーツが安くなり、300kgクラスのビッグクルーザーは高額に・・・・・・? そう考えて筆者が質問したところ、残念ながらバイクは除外されるという(!)。

 「改革の中身はあくまで四輪の話でして、バイクは現行の排気量に応じた制度の継続が妥当ではないかと考えております」と高橋氏。つまり現在と同様、排気量に応じた軽自動税と重量税が徴収されることになる。

 「二輪車や軽自動車は、車格など背景が色々違いますし、当面は現行の排気量に応じた制度の継続と考えております。ただ今後、電動化が進んだり、合成燃料やバイオ燃料の対応などカーボンニュートラルに向けて加速させていくことになると思います。そういう状況を踏まえますと、今後は二輪車の課税のあり方も検討していかなければいけないと考えております」(高橋氏)

 2万5000~11万円というクルマの自動車税に比べれば、バイクの軽自動車税は2000~6000円と確かに安い。とはいえ、バイクはガソリンエンジンだったとしてもエコな乗り物なだけに、やはり改革をお願いしたいものだ。

 また、残念ながらバイクには、クルマのように環境性能に応じた「エコカー減税」がない。EVの場合、購入の補助金は政府と地方自治体が設定しているものの、保有時にはエコカー減税の制度自体がないのだ。バイクのEVを本気で普及させるためには、今後こちらにも優遇措置が必要だろう。

 

 

 

 

新原付の軽自動車税を50ccと同じとする要望は行う

 ただしバイク関連では、「新基準原付」の軽自動車税に関する要望も含まれている。新基準原付は排気量125cc以下で最高出力4kW(5.4ps)以下に制限したバイクを指し、2025年4月から施行予定。50ccの原付一種に代わるもので、交通ルールなどは従来の50ccと同じ扱いとし、これまでの原付免許で乗車できる。

 税額は排気量に応じて決まっているため、最高出力で区分される新原付には対応していない。このままでは51~125ccクラスと同じ税額が徴収されてしまう。

 そこで、警察庁、国土交通省、経済産業省は、新原付に関する税制改正要望を総務省に提出。排気量125ccの新原付に従来と同じ50ccの税額適用を求めているが、自工会でも同様に要望を出すことになる。

 ――今後、自工会は2024年度と2025年度の2年間をかけて、政府に、自動車税制の見直しを働きかける。政府は、走行距離に応じて課税する「走行課税」を検討しているが、自工会としては反対の立場。自工会は、こちらに関して長期的に新たな枠組みを議論すべきとしている。

 今回の要望は、バイクに関しては新原付を除いて関連性が薄いことがわかったが、ライダーには自動車ユーザーも多いハズ。要望のようにシンプル化され、公平な税制に近づけば朗報だ。自動車にかかる税の負担が少しでも減ることを望みたい。

 

詳細はこちらのリンクよりご覧ください。
https://news.webike.net/bikenews/410185/

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