協業を発表した日産とホンダだが、これまではバチバチの競争相手。それはスーパースポーツでも同様だ。同じ高性能を狙ったモデルでも、GT-RとNSXは厳密な意味ではカテゴリーが違うが、日本を代表するスーパースポーツとして常に比較されてきた。

※本稿は2024年8月のものです
文:片岡英明/写真:ベストカー編集部、日産、ホンダ
初出:『ベストカー』2024年9月26日号

■日産 スカイラインGT-R(R32〜R34)&GT-R(R35) vs ホンダ NSX

日産 スカイラインGT-R(R32・1989〜1993年)

 高性能化に突き進んだ平成の幕開けを告げたスーパースポーツがR32系のスカイラインGT-Rである。1989年8月に鮮烈なデビューを飾り、その高いポテンシャルを武器にレースでも連戦連勝を飾った。

 スカイラインGT-Rは最初からレースで勝つことを考えて開発が進められた。そのために排気量を2.6LとしたRB26DETT型直列6気筒DOHCツインターボを開発した。駆動方式も時代の先端を行く電子制御トルクスプリット4WDのアテーサE-TSを採用し、意のままの気持ちいい走りを実現している。

初代NSXはNAで280psをマーク。2代目は3.5L、V6+3モーターのSPORT HYBRID SH-AWDでシステム出力は581ps!!

 GT-Rの登場から1年後、ホンダはNSXを発売した。こちらも意のままの走りと高性能を追求したスーパースポーツである。徹底的に軽量化を図るためにアルミを多用し、ボディまでもアルミ製だ。

 しかもエンジンは過給器に頼らずにハイパワーを絞り出した。3LのC30A型V型6気筒DOHC・VTECエンジンは当時の自主規制値である280psを達成してGT-Rの数値と並んだ。

 どちらもメーカーの威信をかけた意欲作で、その当時、考えられる最高のメカニズムを数多く採用している。次の世代につながる技術もてんこ盛りだった。スカイラインGT-Rは、1995年にR33系へと発展。1999年には最終進化系のR34系GT-Rがベールを脱ぐ。

 NSXは、1997年に3.2Lエンジンを投入し、5速MTは6速MTに進化した。また、ピュアスポーツを名乗るライトウエイトのNSXタイプRも開発している。2001年には固定式ヘッドライトを採用するなど、大がかりな変更を行った。

 スカイラインGT-RとNSXは、ツーリングカーとスポーツカーだから同じ土俵では語れない。世界で認められたのはNSXだ。が、量産車で驚愕の走りを見せたGT-Rは、21世紀の今、海外で凄さが再認識され、脚光を浴びている。

2007年にデビューしたGT-Rは毎年のように進化を果たして別物になったのに対し、2代目NSXはポテンシャルこそ高かったが、デビュー後の劇的な進化は見られず

 21世紀のGT-Rはスカイラインから脱皮し、ニッサンGT-Rを名乗った。専用ボディをまとい、その心臓は専用設計の3.8L、V型6気筒DOHCツインターボだ。これに6速のデュアルクラッチ式ミッションを組み合わせた。

 NSXも日本で2017年に第2世代が発売されている。3モーターに3.5LのV型6気筒DOHCツインターボを組み合わせた革新のハイブリッドスポーツで、駆動方式は4WDだ。エクステリアもダイナミックなデザインで、押しが強い。

 どちらも実力派だが、レースの世界から遠ざかったNSXに対し、GT-Rは今も戦い続けている。また、積極的に進化を続け、今も進化中だ。NSXは車両重量が1800kgになり、初代の軽快感が失せた。この勝負、GT-Rの勝ちだ。

■日産とホンダのモータースポーツ

2024年デビューのシビックタイプRは第4戦の富士で初優勝!

 日産、ホンダともにモータースポーツイメージが強いが、ここ30年で最も激しく争っているのは、全日本GT選手権→スーパーGTのトップカテゴリー(GT1&GT500)だろう。トヨタを含め、3メーカーがしのぎを削っている。

 日産はスカイラインGT-R(R32、R33、R34)、フェアレディZ(Z34)、GT-R(R35)、フェアレディZ(RZ34)で参戦。

 対するホンダは初代NSX(NA1、NA2)、HSV-010、2代目NSX、そして2024年からシビックタイプRを投入している。

 チャンピオンは日産が12回、ホンダが5回と差があるが、シリーズが続く限りライバル関係は永遠だ!

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