自動車デザイン史に名を残す伝説的デザイナー、ブルーノ・サッコ氏が9月19日、90歳で逝去した(メルセデスベンツが9月30日に発表)。イタリア生まれでドイツ国籍を持つサッコ氏は、1975年から1999年の引退まで、メルセデスベンツのチーフデザイナーを務めた。

サッコ氏の指揮下で生まれた代表的な車種には、『Eクラス』(124型)の全4ボディバリアント、『Sクラス』(126型)とそのクーペ、メルセデスベンツ『190E』(W201)、『SL』(R129型)などがある。これらの車種は、サッコ氏が常に掲げていた「メルセデスベンツはメルセデスベンツらしくあるべき」という理念を体現している。

1933年11月12日、イタリアのウーディネで生まれたサッコ氏は、1951年に17歳で測量士の資格を取得。同年、トリノ・モーターショーを訪れた際に自動車デザインの世界に魅了され、1952年からトリノ工科大学で学んだ。1955年にはカロッツェリア・ギアに入社し、モデル製作の経験を積んだ。

1958年、サッコ氏はダイムラー・ベンツ社(現ダイムラー社)に入社。ボディ開発や寸法概念部門の責任者を経て、1975年に主任技師としてスタイリング部門の責任者に就任した。この時期、彼は「123シリーズ」(1976~1986年)など、広く普及した車種のデザインに携わった。

サッコ氏の下で、メルセデスベンツは美学と空気力学的効率を重視するようになった。プロポーションとラインは明確で、機能性が強調された。彼の掲げる時代を超越したエレガンスの哲学は、若い世代にも訴求力があった。

1990年代半ばの製品攻勢では、『Aクラス』(168型、1997年~2005年)、『Mクラス』(163型、1997年~2004年)、『SLK』(R170型)、『CLK』(208型、1997年~2003年)、『Vクラス』(W638型、1996年~2005年)など、メルセデスベンツのモデルラインナップを大幅に拡大した車種のデザインを手がけた。

サッコ氏は引退前の最後の仕事として、220型Sクラス(1998~2005年)と215型『CL』クラス(1999~2006年)のデザインを担当している。

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