2024年6月に登場した3代目フリードだが8年ぶりのフルモデルチェンジとだけあって超絶進化を果たした!! e:HEVを搭載していることで上質感と滑らかさを大幅向上! コンパクトミニバンとしては稀にみる上質感という声もあるのだがイマイチのところも見つかったぞ。

※本稿は2024年8月のものです
文:鈴木直也、片岡英明、清水草一、ベストカー編集部/写真:ベストカー編集部、ホンダ
初出:『ベストカー』2024年9月10日号

■8年ぶりのフルモデルチェンジ!

2024年6月登場の3代目ホンダ フリード。こちらはシンプルな外観が特徴のAIR

 初代、2代目が大ヒットとなったホンダのドル箱コンパクトミニバンのフリードが2024年6月、8年ぶりにフルモデルチェンジして3代目が登場。5ナンバーサイズ、1.5Lガソリン&ハイブリッドは旧型を踏襲しているが、ハイブリッドはe:HEVへと進化。

 ベストカー本誌では、7月26日号で渡辺陽一郎氏がテストコース試乗し、特に3列目シートの快適性が向上している点を評価していた。

 続いて8月10日号&8月26日号で旧型オーナーの松田秀士氏が実車チェック&公道試乗してレポート。e:HEVのスムーズかつ力強い加速、しなやかなサスによるフランス車っぽい乗り味、さらに室内静粛性について高く評価していた。

 今回は鈴木直也氏、片岡英明氏、清水草一氏に評価していただく。

●ホンダ フリードe:HEV AIR (FF)主要諸元
・全長×全幅×全高:4310×1695×1755mm
・ホイールベース:2740mm
・車両重量:1460kg
・エンジン形式:1.5L、直4DOHC+モーター
・最高出力:106ps/6000-6400rpm
・最大トルク:13.0kgm/4500-5000rpm
・モーター:123ps/25.8kgm
・WLTCモード燃費:25.6km/L
・価格:285万7800円

■コンパクトミニバンとして稀なくらい走りに上質感がある:鈴木直也

e:HEVは1.5L、直4DOHC(106ps/13.0kgm)+モーター(123ps/25.8kgm)。通常時はほぼモーター走行

 「ちょうどいい」というキャッチコピーでおなじみのフリードは、モデルチェンジして「ちょうどよさ」にさらに磨きがかかったという印象だ。

 ぼくの見るところ、一番ユーザー受けする部分はスマートなスタイリングと質感の向上したインテリアだ。

 最大のライバルはもちろんトヨタのコンパクトミニバンであるシエンタだが、ショールーム性能はフリードに軍配が上がる。300万円前後の「ちょうどいい」価格帯では、質感を最も上手く演出していると思う。走りではしなやかな乗り心地に魅力を感じた。

 先代よりファミリー向けに振った操安・乗り心地の演出は、パフォーマンスにあまり興味のない今時の若いユーザーに「ちょうどいい」味付け。とりわけ、e:HEVのFF仕様の総合バランスは秀逸で、ドライバビリティ、静粛性ともに文句なし。このクラスとしては稀なくらい、走りに上質感がある。

 日本のファミリーカーは、それ一台でさまざまな用途を過不足なくこなすことが求められる。そういう意味では、そのド真ん中にストレートを投げ込んできたのが新型フリード。トヨタ車のお株を奪う出来栄えだと思う。

●POINT採点チェック
・ハンドリング……8点
・加速性能……7点
・3列目の広さ/快適性……7点
・内外装質感……8点
・乗り心地……9点
・コストパフォーマンス……7点

■ハイブリッドがe:HEVになってBEV感覚の滑らかさに:片岡英明

ダッシュ上面がフラットで視界ヨシ。シフトレバー、スイッチ類が高い位置に配置されているので使いやすく機能的

 先代からの正常進化だが、多くの点で高得点を叩き出すトータル性能の高いコンパクトミニバンへと成長した。

 デザインは好みの問題だが、多くのファミリー派が「いいね」と思えるフレンドリーなデザインだ。特にプレーンなフロントマスクのAIRは、歴代モデルのなかで最高の出来栄えだと思う。水平基調のインパネからの視界はいいし、ファブリック張りの加飾パッドも見栄えのよさに貢献している。

 キャビンの広さは大差ないが、シートの変更によって座り心地がよくなった。3列目は相変わらず座面までの高さが足りないが、先代より快適だ。

 肝心の走りは、e:HEVに変わったハイブリッド車の洗練されたパワーフィールが好印象である。

 リニアシフトコントロールの気持ちいい加速に加え、BEV感覚の滑らかさも手に入れた。エンジンの不快なノイズと振動も減っているので、ひとクラス上になったように感じる。

 スッキリしたパワーステアリングの操舵フィールとしなやかに動くサスペンションも大きく進化した部分だ。コーナーではロールの収束が早く、背の高さを意識させない。これも美点のひとつに挙げられる。乗り心地もよくなっているなど、商品としての魅力は大きく広がった。

●POINT採点チェック
・ハンドリング……8点
・加速性能……8点
・3列目の広さ/快適性……6点
・内外装質感……7点
・乗り心地……8点
・コストパフォーマンス……8点

■コミコミ300万円超のクルマとしては物足りない面も:清水草一

フリードの3列目シートは旧型のものより快適に。視界も優れ閉塞感がなく、それゆえクルマ酔いしにくい

 新型フリードはとてもよくできていて、これといった欠点はまったくなかった。ただ、飛びぬけた魅力もないなぁ、というのが正直な感想だ。

 外観は最近のホンダのデザイン路線に沿って、シンプルそのもの。ただ、シンプルすぎて単純に感じられた。

 ポイントは、フロントウィンドウがかなり寝てるわりにリアが直立していて、全体のバランスがイマイチなことだ。それで「いいもの感」が薄くなってしまった。質感が足りないんだよね。それをどう評価するかだなぁ。

 インテリアもフィットやステップワゴンと同じ癒し路線。いいと言えばいいんだけど、フィットやステップワゴンよりさらに質素なイメージだ。なんかちょっと寂しい。

 走りは徹底して癒やし路線。とっても乗り心地がいいし、動力性能も日常ユースにはぜんぜん不足はない。ハイブリッドなら燃費もいい。ただ、コミコミ300万円を超えるクルマ(e:HEV)としては、ちょっと物足りない面もある。

 家族の日常の足にはピッタリだと思うけど、ピッタリすぎて余裕がないというか……。人間、多少はムダが欲しかったりするじゃない。すべてが機能的で想定の範囲内で、驚きがないのが残念。

●POINT採点チェック
・ハンドリング……7点
・加速性能……7点
・3列目の広さ/快適性……8点
・内外装質感……7点
・乗り心地……9点
・コストパフォーマンス……7点

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