ヤマハのスーパースポーツ「YZF-Rシリーズ」の末弟として、水冷125cc単気筒エンジンを搭載して開発された「YZF-R125」。そのYZF-R125とフレーム、足まわりを共用し、排気量を155ccに拡大しているのが「YZF-R15」だ。原二のYZF-R125に対し、YZF-R15は軽二輪となり、高速道路走行に対応しているのが大きな特徴だ。

文:小川浩康 写真:コイズミユウコ

YZF-R125と車重は変わらず、+30ccでトルクとパワーは向上

 2023年10月にYZF-R125とともに国内モデルとして初登場したYZF-R15。海外では125クラスはエントリーモデルとして、150クラスは国内の250クラスに匹敵するスポーツモデルとして高い人気となっている。YZF-R15も海外では2008年にデビューし、2023年にフルモデルチェンジして3代目となったロングセラーモデルだ。

 YZF-R15の水冷SOHC4バルブ単気筒エンジンは、YZF-R125のボアを6mm拡大して排気量を124cc→155ccとし、最大トルクは1.2kgf・m/8000rpm→1.4kgf・m/7500rpm、最高出力は15PS/10000rpm→19PS/10000rpmと、それぞれ向上しつつ、デルタボックス型フレーム、倒立フロントフォーク、アルミスイングアームなどを共用することで車体サイズはほぼ変わらず(リヤフェンダーの長さが異なる)、車重も141kgと同一になっている。

 スリップしやすい路面で安定感を高めるトラクションコントロール、過度なエンジンブレーキを抑制するアシスト&スリッパークラッチ、7400rpmで吸気カムが低速向けから中高速向けに切り替わる可変バルブ(Variable Valve Actuation=VVA)、多機能液晶メーターなど装備も充実。カウルにはYZF-R1と共通する水平基調のデザインを施し、ヤマハスーパースポーツらしいイメージとなっている。

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YZF-R15の足着き性をチェック!

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VVAが扱いやすさとスポーツ性を両立させている

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 車重がYZF-R125と同じ141kgということもあり、押し引きで重さは感じなかった。アシスト&スリッパークラッチを装備しているのでクラッチレバー操作も軽く行なえ、2000rpmくらいからトルクがグッと立ち上がってくる。この時のトルクがYZF-R125よりも太く、ゼロ発進からのマシン挙動がより軽快に感じられる。

 5000rpmくらいで交通の流れをリードする加速力を発揮するのはYZF-R125も同じだが、YZF-R15のほうがトルクに厚みがあるので早めにシフトアップでき、快適にクルージングができる。7400rpmで吸気側カムが中高速向けに切り替わるが、市街地ではそこまで回せる機会もほぼなく、低速側カムでも走りは俊敏でストレスを感じることがなかった。

 セパレートハンドルはハンドルクラウンより下にセットされていて、ライディングポジションは前傾となるが、身長172cmの筆者には、その前傾はつらく感じなかった。むしろややタイトなハンドル幅が車体をコンパクトに感じさせ、前傾姿勢によって自然とフロントに荷重もかかるので、ハンドリングが安定しつつ車体との一体感も感じられる。フロントタイヤの状況も分かりやすく、前後ブレーキは初期から制動力が発揮され、その制動力もコントロールしやすい。YZF-R125同様に軽い車体にトルクとパワーを向上したエンジンを搭載したYZF-R15は、コーナー進入時の倒し込みは軽く、コーナー脱出時の加速はよりスムーズで、コーナリング性能は250ccのYZF-R25よりもスポーティだと思った。

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YZF-R15なら、人車一体の走りをより幅広く楽しめる

 前後サスは荒れた路面や大きめのギャップでは衝撃を身体に伝えることもあるが、底突きはせずに踏ん張ってくれる。舗装状態のいい路面ではフラットな姿勢をキープし、乗り心地もいい。シートのクッション性もよく、前後方向に余裕があるので着座位置も変更でき、上半身を起こしたリラックスした姿勢もとれる。

 6速で80~90km/h走行するとVVAが作動する7400rpm以上となるが、最高出力が発生する10000rpmまでは至らず、さらにスロットルを開けていけば高速道路での100km/h巡航もこなせる。走行風が胸に当たるのを感じるが、カウルの整流効果は発揮されていて、ヘルメットが振られることもない。車体の直立性も高く、高速走行時も振らつきにくい。ただし、VVA作動域に入るとエンジンからの振動も増えてくる。すぐに手足がしびれるレベルではないが、80~90km/h巡航のほうが車体、ライダーともに余裕が感じられた。

 高速走行ではYZF-R25のほうが振動が少なく、巡航速度やパワーに余裕がある。最高出力35PSを発揮する250cc2気筒エンジンを搭載しているメリットが生きるシチュエーションと言えるだろう。しかし、車重はYZF-R15のほうが28kgも軽く、それが取りまわしやコーナリングでの軽快さとしてハッキリと感じられる。125ccのYZF-R125でも軽快な走りを存分に楽しめたが、YZF-R15はVVAが低回転域での扱いやすさと高回転での巡航性能を両立していて、より幅広い状況で一体感のあるマシンコントロールが楽しめるようになっている。免許、維持費、高速道路の利用状況などはマシン選びに大いに影響するが、パワーに振り回されず、ライダーがコントロールしてスポーティな走りを楽しむことを重視するなら、好適な1台としてYZF-R15をおすすめしたい。

20240829_yzf_r15_18 原二の軽さと軽二輪の速さを両立! YZF-R15は万能スポーツモデルだ。

【2023年型ヤマハYZF-R15主要諸元】

・全長×全幅×全高:1990×725×1135mm
・ホイールベース:1325mm
・車重:141kg
・エンジン:水冷4ストロークSOHC4バルブ単気筒155cc
・最高出力:19PS/10000rpm
・最大トルク:1.4kgf・m/7500rpm
・燃料タンク容量:11L
・変速機:6速リターン
・ブレーキ:F=ディスク、R=ディスク
・タイヤ:F=100/80-17、R=140/70-17
・価格:55万円


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