昨年2023年に日本国内で販売された新車台数は、約478万台。その3倍以上である、約1,562万台が販売されたのが、北米市場でした。そんな巨大マーケットの北米で、日本車は、現地メーカーと同じく高く評価されており、2024年第一四半期(1〜3月)の北米市場の販売台数ランキングでは、トップ10に5つも日本車がランクインしています。いま北米で売れている日本車トップ5をご紹介しましょう。

文:立花義人、エムスリープロダクション/写真:TOYOTA、HONDA、NISSAN

北米で売れた日本車第5位:ホンダ シビック(60,071台・総合10位)

 「北米のクルマ」というと、大柄なSUVやフルサイズピックアップトラックをイメージしますが、エコ意識が高まっている近年は、経済性を求めるユーザー層を中心に、比較的小型なモデルに人気が集まっています。

 そんな北米において、いま5番目に売れている日本車はホンダの「シビック」です。日本仕様では5ドアハッチバックのみのシビックですが、ホンダ車の人気が高い北米では4ドアセダンもラインアップされています。ハッチバックのほうがスポーティですが、セダンはやや落ち着いた雰囲気。ボディタイプの選択肢が用意されているのは、北米で売れているクルマである証でしょう。

北米版シビック。日本ではイマイチ売れていないが、アメリカではよく見かける日本車のひとつだ
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北米で売れた日本車第4位:トヨタ カムリ(78,337台・総合8位)

 日本では2023年内をもって国内モデルの生産が終了となった、トヨタ「カムリ」。ただ、北米では昔から人気を維持しており、2023年11月にはマイナーチェンジをした新型モデルが登場しています。新型では、プリウスやクラウンが採用するハンマーヘッドのフロントマスクを採用し、さらにスポーティなイメージとなりました。
 
 パワートレインは全車ハイブリッドで、2.5L 直4直噴ガソリンエンジンに第5世代のハイブリッドシステムを搭載し、AWDモデルは232psの最高出力を発揮。最新の安全装備、デジタルメータークラスター、HUD(ヘッドアップディスプレイ)などを採用。この新型カムリは、北米で人気沸騰中のモータースポーツ「NASCARカップシリーズ」にも登場しています。

北米では新型が登場したカムリ。ハンマーヘッドのフロントマスクで超カッコイイ

北米で売れた日本車第3位:日産 ローグ(エクストレイル)(90,804台・総合6位)

 日本でファミリーカーというとミドルクラスミニバンが人気ですが、北米ではSUVが人気の中心。3列シート7人乗りも選べる日産「ローグ」は、総合6位につける人気ぶりです。

 ローグは日本でいう「エクストレイル」。日本仕様と異なるのはパワートレインで、日本仕様は1.5Lターボを発電用エンジンとしたe-POWERのみですが、北米版にはこのe-POWERがなく、1.5L 直3可変圧縮比ガソリンターボ(KR15DDT)となっています。

 デビューモデルには、2.5L 直4直噴ガソリンエンジン(PR25DD)版がありましたが、新型の1.5L 3気筒エンジンのほうが出力・燃費が向上しており、ゆとりのある加速性能と燃費性能を求める北米ユーザーの需要にしっかり応えるモデルとなっています。

日産ローグ。2024年モデルは力強く高級感のあるフロントグリルに変更されている。日本仕様も次のマイナーチェンジでこのフロントフェイスに変わるか?

北米で売れた日本車第2位:ホンダ CR-V(95,038台・総合5位)

 先日、FCEVとなって日本市場復活をはたしたホンダの「CR-V」。北米では2022年に現行6代目CR-Vが登場しており、ローグと同様、大人気となっています。

 ワイド感を強調するプロポーションと低く水平なベルトライン、シンプルでありながら存在感のあるディテールなど、近年のホンダらしい洗練されたデザインが魅力で、インテリアもシビック同様、水平基調の落ち着いたデザインで、ワンランク上の質感を感じさせる高級感のある仕上がり。

 パワートレインは、2.0L 直4直噴ガソリンエンジン+2モーターのハイブリッドと、1.5L 直4直噴ガソリンVTECターボがラインアップされており、日本同様に量産プラグイン水素燃料電池車である「CR-V e:FCEV」も発売となっています。北米でのCR-V人気がさらに高まるか、注目です。

量産プラグイン水素燃料電池車である「CR-V e:FCEV」。水素を充填して走行するFCEV(燃料電池自動車)に、AC充電機能をプラスしたSUVだ

北米で売れた日本車第1位:トヨタ RAV4(124,822台・総合3位)

 いま北米でもっとも売れている日本車はトヨタ「RAV4」です。北米全体でも(当該期間では)3番目に売れており、1位と2位はフルサイズピックアップトラックであることを考えれば、北米でもっとも人気のあるSUVはこのRAV4ということになります。

 日本でも人気のRAV4ですが、もともとは北米市場をターゲットとして開発されたモデル。現行型は、2018年にニューヨーク国際モーターショーで初披露され、同年にガソリンモデル、2019年にはハイブリッドモデルが発売されました。

 ラインアップは2.5L 直4直噴ガソリンエンジン、同ハイブリッド、同プラグインハイブリッドと用意されており、力強いデザインとしっかりした走り、トヨタ自慢のハイブリッドシステムによる低燃費が、人気を牽引している理由でしょう。

北米版のトヨタRAV4。1位2位のピックアップトラックを除けば、全米でもっとも売れているミドルクラスのクロスオーバーSUVだ

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 いまでも、北米市場でダントツ売れているのは、フォードFシリーズやダッジラムといった超デカいピックアップトラック。とはいえ、近年はコンパクトカーやミドルクラスSUVにその軸足が移ってきており、そうしたジャンルのクルマづくりは、日本車メーカーの得意分野。今後も、日本車の活躍が期待できそうですね。

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