生成AIによって、位置情報や行動データを元にユーザーの無意識レベルまでプロファイリングできるサービス「ユーザープロ」をレイ・フロンティアが提供開始した。

スマホのセンサー情報を元にユーザーの行動をトラッキングすることで、情報の鮮度を保ちながら深いレベルのユーザーペルソナを分析できるといい、自動車関連、モビリティ関連の企業にとっても、関心のある情報を収集する手段になるかもしれない。

◆アンケートによるユーザー調査の限界

消費者のライフスタイルを深く幌下げて理解し、的確な商品開発やマーケティング戦略を立てることが企業にとって重要度を増している。しかし、従来の消費者の性別、年齢、職業などデモグラフィックな基礎データとアンケート調査の組み合わせだけでは限界があった。

消費者の記憶に基づいた回答は曖昧さが残り、経時変化した場合の追加のヒアリングも困難だ。さらに調査をする側にもされる側にも時間的・空間的な負担がかかるという問題があった。

ユーザープロは、スマホのセンサー情報を利用して位置情報や行動情報を継続的に記録する。これを性別、年齢、職業、年収、趣味などの基本データに加えてたビッグデータを生成AIで分析することにより、そのユーザーの仮想人格をサービス内に構築する。

「ユーザープロ」によって構成された仮想人格とそれに対する生成AIを使ったインタビューの例

その仮想人格に対してインタビューを行うことで、元になった消費者自身も気がつかないような潜在的・無意識の欲求まで知ることができる。行動データを記録し続けることで、消費者の好みの変化も追加アンケート無しに更新していくことができる。

◆118万人のデータを元に分析

レイ・フロンティアは、これまでに累計118万人のデータ(804億点)から、「好んで訪れる場所」、「旅行」、「睡眠時間」、「乗り物判定」のような項目を2016年から継続して分析・推定してきた。その実績を元に、位置情報データを基に無意識行動を分析する「ペルソナ行動研究所」を立ち上げた。

ペルソナ行動研究所は、「ペルソナの深層解析」「パーソナライズ技術開発」「消費者行動の分析」を強みとしているという。

「ペルソナの深層解析」は、性別、年齢、職業、年収、趣味などの基本データに行動データを加えて総合的に解析する。「パーソナライズ技術開発」は、行動パターンと生活リズムに基づく解析により、個々のパーソナリティ情報を提供可能にする。

「消費者行動の分析」は、季節ごとの消費トレンドやライフスタイルの変化を捕捉し、企業がマーケティング戦略や販売戦略を立てる手助けとする。

今回のユーザープロは、これらのファンクションを提供するサービスとなっているようだ。

◆自動車・モビリティ関連で活かせるか?

ユーザープロのようなサービスが登場することで、企業のマーケティングは新しい段階に進む可能性がある。企業は時間や場所の制約を超えてより深く個々のユーザーペルソナを理解し、消費者の潜在的な欲求を深掘りすることが可能になる。

特に自動車関連やモビリティ関連の企業にとっては、位置情報や行動データが基になっていることから、ユーザーの属性や嗜好による、移動方法や経路や時間帯などの傾向を捉えることができれば、新しい商品やサービスの開発・改善に繋がるかもしれない。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。