バスケットボール女子5人制日本代表にて大黒柱としてチームを牽引する髙田真希(34、デンソーアイリス)にシドニー五輪マラソン金メダリストの高橋尚子キャスターがパリ五輪へ臨む意気込みを聞いた。21年東京五輪でもゴール下で激しいボール争いをするセンターのポジションでリバウンドに無類の強さを見せ、日本バスケット界初メダルとなる銀メダル獲得に貢献した。
ゴール下ポジション争いは「戦争です」
Q<高橋尚子>.(センターで身長)185cm、それでも海外の選手と比べると・・
髙田真希:
小さい方です。同じポジションだと、だいたい私のポジションでいうと2m、190後半から2mくらいの人がほとんどです。
Q.センターの重要性とは
髙田:
センターの重要性っていうのは、ポジションで言うと、ゴール下付近にいて攻めたり守ったりするっていうのが基本的なイメージです。やっぱり体の強さであったりだとか、まぁフィジカル、体を当てあったりっていう体のぶつけ合いですね。いかに良いポジションを取って攻めるかとか、逆にディフェンスはそれをさせたくないので、相手に良いポジションを取らせないように体をぶつけあうっていうのが、もうこの辺りは戦争です。
Q.戦争ですか!でも高田選手は強そう…
髙田:
そうですね、当たり負けはしないかなっていう感じはあります。海外の選手とやっても。体幹もそうですし、元々の基本的なトレーニングはもちろんしますけど、体幹部分が自分ではあんまりそんなに強いっていう感じはしないんですけど、周りからプレーを見てもらうと『体幹強いね』っていうのは言われます。
なぜリバウンドで世界と戦えるのか
なぜ外国人選手と比べると小柄な彼女がリバウンドで世界と戦えるのか。
髙田:
(リバウンドは)実際どこに落ちてくるかも分からないですし、だからといって、リバウンド行っただけで取れるかって言うとそうじゃない。 じゃあ、どうしたら取れるかっていうと、確率を自分は上げていくんですよね。取れる確率を上げていく…相手がシュート打ちました、取りに行きますよね。まずディフェンスっていうのは、“ボックスアウト”と呼ばれるものをします。
“ボックスアウト”とはリバウンドに入る相手選手に対して体で阻止して動きを防ぐプレーの事。髙田選手は自分よりも背が高い相手選手に対しても体をぶつけて外に押し出す。この激しいポジション争いでリバウンドを取るのに有利なスペースを作り出している。
髙田:
ただ単にボックスアウトしててもダメですし、突っ立っててもダメ。じゃあ何をするかと言うと、なるべく“外”で。でもこの争った状態から押し出すのって実は難しいんですよ。そうなってくると…<まだシュート打つ前>です。<シュートを打つ前>はだいたいこの“外”ら辺にいるので、なるべく自分は近くにいながら、誰かシュート打ちそうだなってなった時にもうボックスセットしちゃいます。そうすると、自分の取れる範囲があるので、(相手が)大きくても落ちてきたのに飛びつく。押し込まれちゃうとどうしても敵わないので、なるべく近い位置で争います。
Q.外側で…
髙田:
これがリバウンドの戦争です。
Q.ちょっとした“外”への範囲がどれだけ広げられるか…
髙田:
そうです、それがめちゃくちゃ大きいです…意外と力だけじゃなくて、体の使い方もそうですし、駆け引きなので相手がガッと来るところをかわしたりだとかっていう駆け引きとなんとかみたいな感じで色んな争いがここの中で行われてます。実はリバウンドって言うとただボール取るってイメージですけど、そのためにはいろんな動作が入ってることを常にやってます。
髙田選手の体幹の強さを支える“空手”の経験
体を激しくぶつけるボックスアウトにおいて、髙田選手の体幹の強さを支えるのは小学校4年生から始めた空手だったという。その実力は全国大会を4連覇するほどの実力であった。
Q.振り返った時、その体幹の強さは空手で養ったものが大きい?
髙田:
めちゃめちゃ大きいです。空手やってなかったらこういう体の使い方とか考えもそうですけど、そういう風にならなかったな~っていうのは感じます。
実際に空手着に着替えて貰い、得意技の豪快な上段回し蹴りを披露頂く中、実はこの空手の蹴りに強い体幹の秘密が隠されていた。
髙田:
最初の頃だと(足を)上げたときにグラグラしてくるのを小さい頃からずっと積み重ねていってブレずに(蹴りを)打てるようになってくる。それでたぶん体幹が強くなったり、バランスとか、体の使い方っていうのを自然と出せるように身に付いたかなと思います。
「もう一個いい色のメダルを獲りに行きたい」
空手で鍛え上げられた高田選手の武器はパリ五輪<金メダル獲得>への大きな力となる。パリ五輪のグループリーグ初戦(現地7月29日)は3年前の決勝で敗れた強豪・アメリカと対戦する。
髙田:
アメリカはもうダントツで、もう東京五輪も金メダル獲っている本当に強いチーム…まずはもう思い切って自分達のプレーをする事がすごく重要だと思います。勝つのももちろんそうですけど、自分達がそこで心を折れない事が重要になってくると思います。じゃないと後の試合に響くので、まずは予選グループを突破しないとトーナメントに出場出来ないので、東京五輪もアメリカと同じグループだったんですけど、でもアメリカ以外には勝てた。トーナメントに行くと、アメリカと反対の組になったり当たらないので、逆にいいんですよね。そういうポジティブな事をしっかり持って、後は自分達がどれだけこの3か月間自信を持ってプレー出来るかっていうのを備えていくだけだと思うので、もうとにかく気持ちが一番重要だと思います。
Q.パリ五輪への想いは
髙田:
本当にチームとしての目標にもありますけど、金メダルを目指しながらしっかり準備して、東京五輪では銀メダルだったので、もう一個いい色のメダルを獲りに行きたいなと思います。技術的なところもそうですけど、最後は気持ちかなと思うので絶対に自分たちは金メダル獲るんだっていう強い気持ちが接戦をモノにすると思っているので、そういう気持ちの部分が一番大きいかなと思います。
髙田真希(たかだ・まき)
1989年8月23日生 愛知県出身 桜花学園高~デンソー 身長:185cm
2009年から代表入り。16年リオ五輪でベスト8、21年東京五輪では主将を担い、銀メダル獲得に貢献。23-24Wリーグでは2年連続3回目のレギュラーシーズンMVPと8年連続12回目のベスト5(センター)に選出され、3ポイントシュート成功率も1位と、攻撃も頼れる日本代表の大黒柱。コートネームの「リツ」は「リバウンド強く」から由来。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。