「日本体育大学 第61回体育研究発表実演会」が11月26日(火)、横浜アリーナで行われた。今年はパリオリンピックで活躍したメダリストが報告会を行い、女子52キロ級の阿部詩(24)やレスリング女子53キロ級金メダリストの藤波朱理(21)なども参加。そんな中、会場を沸かせたのは日本体育大学で50年以上の歴史を誇る「集団行動」だ。
集団行動は学生の集団生活に欠かせない「他人を思いやる気持ち」をモットーに1970年から始まった。毎年集まった有志で取り組む集団行動。今年は1年生から4年生まで総勢68人の学生が集まった。その内18人が経験者、50人が未経験者だという。今年並々ならぬ強い思いで臨むのが、4年生の北野亜実さん(21)。来年の春、卒業を迎える北野さんは1年生の時から集団行動に参加しており、今回の構成を作った主軸メンバーだ。北野さんに集団行動の魅力について聞いてみた。
「集団行動の魅力は沢山あるけれど、みんなが出来る事 歩くだけで人に感動を与えられるやっていることは単純だけどそういった部分が魅力かなと思います」
今年の構成の中で一番の見どころは四方向からなる「四方向交差」。「四つの角に基準隊列を組み中心へ向かって歩行し、そのあと連続して交差を行う」という演技。今回の構成で一番時間を費やしてきた演技だ。北野さんは、練習中、なかなか思うようにいかず仲間と何度も意見を交わし合ったという。
この日は約4か月に及ぶ練習の集大成。一発本番の演技。自分たちの順番が近づくにつれ、次第に口数が減っていく68人。全員が緊張している。
会場には1万人を超える観客。緊張感が走る中、指揮者の掛け声で歩行を始める北野さんと学生たちは一糸乱れぬ動きで会場を魅了していく。
演技終盤、いよいよ今回の目玉「四方方向差」。「四つ角基準!整頓!!」指揮者の号令で四つ角に隊列を組む学生たち。「直れ!中央に向かって、前へ進め!!回れ右前へ進め!!」 指揮者の号令と学生たちの完璧な演技に観客から歓声と拍手が送られた。
「先頭から退場口に向かって進め!!」
8分間の演技を終え、退場口を出た北野さんの目には大粒の涙が流れた。
「終わりましたよ、4年間!頑張った!1年生の時からやってきて4年目が一番苦しく、辛い一年でした。実際に人を動かしたり、前に立つのは初めてだったので、とても難しかったです。何度も逃げたく辞めたくなりましたが、本当に今までやってきて良かったなと思いました。始まる前も終わった後も、ずっと鳴りやまない歓声にすごく感動しました。私たちの演技を応援し、楽しみにしてくれていたり、支えてくれた方々の想いがとても身に染みて感じました」
4年間の活動を振り返って北野さんは、満面の笑みを見せた。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。