サッカー明治安田J1リーグは今季残り2試合となった。アルビレックス新潟は現在16位で、J1残留が未だ決まらぬ状況のなか、今のチームをけん引するキーマン、副キャプテンの秋山裕紀と大学生ながら存在感を発揮する稲村隼翔を取材。残留に向けカギとなるポイントについて聞いた。

■ルヴァン杯ではクラブ初の準優勝も…

J1に再昇格し、2シーズン目の終盤を迎えているアルビレックス新潟。

JリーグYBCルヴァンカップではクラブ初の準優勝を果たしたものの、明治安田J1リーグでは現在16位と、いまだJ1残留を決めることができていない。

秋山裕紀:
「”勝つ”っていうところの貪欲さを選手ひとりひとりが持って戦わなきゃいけないと思っている」

稲村隼翔:
「ルヴァンの決勝で勝てなかったりいま残留争いをしたりしているところにもどかしさは感じている」

現状について、もどかしさを口にしたのは、ボランチの秋山裕紀と、センターバックの稲村隼翔だ。

秋山裕紀:
「この中断期間でチームとしてやるべきことを、もう一度改めたうえでいま取り組んでいる」

■チームのテーマは“決定機”

残留を決めるためにも意識的に取り組んでいるというのが、「決定機」を作り出すこと。

秋山裕紀:
「ボール握っているだけじゃなく、フィニッシュのところを決めきるっていうところから逆算したボールの動かし方は重点的にやっている」

ボールの支配率を高め、個人の能力に依存することなく組織的に攻撃を組み立てるプレースタイルのアルビ。

1試合平均パス数・パス成功率はともにリーグトップで、なかでも秋山はプレー総数(試合中にボール関わる回数)、1試合平均パス数がJ1の選手の中で1位と、まさにアルビのサッカーの中核を担っている。(スタッツ順位は11月25日現在)

秋山裕紀:
「自分たちがやってきた組織的なところがピッチの上で表現できれば、どの相手であってもしっかり点は取れると思っている」

稲村隼翔:
「攻守ともに裕紀さんを中心としてアルビサッカーがあると思っているので、そこは意識している」

■現役大学生の稲村 成長のウラに秋山からのアドバイス

一方、左足からの長いパスでチャンスを作り出す稲村は、現在東洋大学の4年生。

来季の加入が内定していて、今季は特別指定選手としてアルビのユニホームを着て、公式戦に出場してきた。

稲村隼翔:
「サッカーに対しての向き合い方や試合に対しての準備の仕方は今季、新潟に来る回数が多かったので、すごく成長できたかなって感じている。ただ、チームに合流してすぐに試合みたいなこともあったので、また大学のほう戻ってってなると、カテゴリーの差はどうしてもあるので難しさを感じた」

並行して2つのチームでプレーする難しさを感じながらも、出身の前橋育英高校の先輩でもある秋山のアドバイスが稲村の支えとなったという。

稲村隼翔:
「裕紀さんは『自分の成長にフォーカスしろ』みたいなことを言ってくださった」

秋山裕紀:
「アルビでピッチに立っている自分を想像して、その中で何が大事なのかを大学の中でどれだけ意識できるかというところにフォーカスしたほうがいいんじゃないかという風には個人的に思っていた」

そのアドバイス通りめきめき成長すると、リーグ戦初スタメンとなったアウェー広島戦の後半27分には、カウンターから大橋との1対1を迎えたものの、この難しい局面を守りきり、直後にはガッツポーズも飛び出した。

さらにルヴァンカップでは、準々決勝以降すべての試合でスタメン出場し、決勝進出に貢献した。

秋山裕紀:
「自分のところに1対1が来ても全然いいぞくらいなスタンスで守備の選手にはいてもらいたいなと思っているし、あのきつい時間帯に守ってくれるのは頼もしい。また、ルヴァンカップなんて稲村がいなかったらあそこまで上がれてなかったとは思っている」

その貢献ぶりに、多くのアルビサポーターから東洋大学に寄付が集まり、その総額は100万円を超えている。

稲村隼翔:
「クレイジーだなと思います、いい意味で。こんなことあるのかっていう思いはありましたけど、感謝しかないですね」

■「コンパクトな守備」で失点を減らせるか

2人が今季ここまで印象に残っているという試合が、川崎Fと対戦したルヴァンカップの準決勝2試合だという。この試合に残留のための大きなカギがある。

秋山裕紀:
「枠内シュートがたぶんホームで1、アウェーで2とかだったので、そういう意味ではそもそもシュートを打たせないっていうところでの守備陣の奮闘っていうところはすごくよかったかなって思っている」

リーグ戦は残り2試合。
アルビは引き分け以上の結果が1試合でもあれば、自力で残留が決まる。

ここまではリーグワースト4位の失点数となっているが、川崎F戦から続けているコンパクトな守備を徹底し、失点を減らすことが、残留への重要なポイントとなる。

稲村隼翔:
「川崎F戦のようにシュートを打たせないっていうところを、まず基準としてやりたいですし、広島戦のような1対1であっても、ディフェンスライン個人個人で守れれば負けることはないので、無失点というところにはこだわりたい」

秋山裕紀:
「コンパクトな守備をすれば、チャンスは来るっていうことはここ数試合やっていて手応えを個人としては感じるので、それを残り2試合続けていきたい」

リーグ戦では、直近7試合勝利はないが、ここまで後押ししてくれたサポーターの前で残留を決めるため、11月30日(土)に行われるホーム最終戦での勝利を誓う。

稲村隼翔:
「いつもはサポーターのみなさんに自分たちを奮い立たせてもらってますけど、ホーム最終戦は自分たちのプレーでサポーターの皆さんを盛り上げたいなと思っている」

秋山裕紀:
「選手はサポーターにどこで恩返しをするかってなったときに、やっぱりピッチの上でどう表現するか。残りの2試合はなんとしてもチームとして勝っていいかたちで今季を終えたい」

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