大阪国際女子マラソンで日本記録を更新した前田穂南=1月28日、ヤンマースタジアム長居(根本成撮影)

パリ五輪の開幕まで3カ月を切った。大きな自信を胸に、女子マラソンの前田穂南(天満屋)が2度目の五輪に挑む。1月の大阪国際女子マラソンで2時間18分59秒を出し、日本記録保持者となった27歳は「楽しみでわくわくしている。また世界で走れるのが楽しみ」と3カ月後の大舞台を待ちわびている。

前田は4月上旬にパリでコースを試走した。上り下りが繰り返しあり、高低差156メートルの難コースになるが、2020年2月に青梅マラソン30キロの部を走り、起伏が激しい高低差85・8メートルのコースで1時間38分35秒の日本記録を樹立した経験を持つ。また、19年9月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)ではゴール時の気温が29・2度まで上がった暑さの中で、後続に3分以上の差をつける独走で制した。厳しい条件を苦にしない強さがある。

多くのオリンピアンを指導してきた武冨豊専任コーチは「パリは記録を狙うコースではない。これまでの経験で一番厳しいコース」としながらも、「前田は一人で走れる強さがある。練習をしっかり積めれば結果はついてくる」。代表選考レースだった大阪国際では中間点を過ぎてペースメーカーの前に出たように、持ち前の度胸や勝負勘に大きな期待を寄せている。

天満屋からは過去、2000年シドニー大会の山口衛里、04年アテネの坂本直子、08年北京の中村友梨香、12年ロンドンの重友梨佐、そして前田と5人のオリンピアンが誕生しているが、2度目の出場は前田が初めてだ。パリに向けて、前田は「(目標は)まだ秘密です」とけむに巻くが、東京五輪前には「金メダルを取りたい」と公言していただけに、2度目の舞台に懸ける思いは胸に秘めているはずだ。

東京五輪は1年の延期があってコンディションを整えきれず、33位に終わった。「東京五輪の頃は一番苦しい期間だったけど、パリではこれ以上の苦しみはないと思う。自分らしくしっかりと走りたい」。

3年前のような不安げな表情はない。日本のエースとして堂々と世界に立ち向かう。(大石豊佳)

パリ五輪開幕まで3カ月
  • マラソンコースは「史上最難関」 高低差156メートル
  • 柔道・阿部、卓球・張本…きょうだい選手の活躍に期待
  • 聖火をアテネで引き渡し 帆船でフランスへ

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。