幹線道路の新設に伴い、長崎市が陸上競技場などを別の場所に移転することに対し、現地存続を求めていた市民団体からも反対の声が上がっています。

15日の被爆者団体への説明に続いて、長崎市の鈴木市長は市営陸上競技場の現地での存続を求める市民団体に市の方針を示しました。

松山町のスポーツ施設をめぐっては、長崎南北幹線道路のルートと重なることから、施設を利用する市民や学識経験者などで構成される検討委員会が設置されました。

検討委員会は今年6月、市民総合プールを陸上競技場に移す案と、茂里町の中部下水処理場跡に移す案の2つに絞り、鈴木市長に最終判断を委ねていました。

そして市は費用や利便性を理由に、市民プールを市営陸上競技場の場所に、陸上競技場の400メートルトラックを中部下水処理場跡に再配置することを決め、関係者への説明を行っています。

しかし市民団体側は「陸上に取り組む学生や、平和を願う被爆者からも現地での存続を求める声が上がっている」と改めて訴え、鈴木市長に対し再考を求めました。

長崎市営松山平和運動公園を守る会 井上秀明 事務局長
「今の松山の競技場はいろんなことで全体が使われている。長距離、中距離、投てき、一般の市民がウォーキングやランニングをしている」

道口徹也 副会長
「地下に眠っている遺骨や遺構、目に見えなくても残すべき場所」「お金の問題だけで考えるのではなく、最初に考えてほしいのは市民の気持ち、心、感情です」

また、日頃から陸上競技場でランニングを楽しんでいるという中途視覚障害者の山口秀海さん(74)も今の場所への愛着と環境が変わることへの不安を訴えました。

山口秀海さん(74)
「子供から大学生、高校生、大人の人、みんな声を掛けてくれてものすごく元気をもらっている」「(競技場が)茂里町に行ったら私は行けないと思う」

意見に対し、鈴木市長は「貴重な意見として参考にする」と述べるにとどめました。

市民団体側は再度、市長との協議の場を求めています。

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