24日に行われたプロ野球ドラフト会議。県出身選手は育成ドラフトを含めて3人が指名されました。唯一の支配下指名となったのは、エナジックスポーツの龍山暖(たつやま・はるき)選手。創部3年目で初のプロ野球選手誕生の快挙となりました。
▽会見で龍山暖選手
「野球を始めたころからプロ野球選手が夢で、選ばれてほっとします」「自分よりも他の人が喜んでくれて、応援されているんだなって思いました」
埼玉西武ライオンズから6位指名を受けた、エナジックスポーツ高等学院、龍山暖選手。幼い頃から追いかけてきた夢が叶いました。
2022年。まだ、コロナ禍の真っ只中で創部されたエナジックスポーツ高等学院。名護市瀬嵩のグラウンドには、新たな環境から甲子園を目指そうという15人が、県内各地から集まりました。
「基本的にはもう野球漬け。南部の人から石垣の人も来ていて、部屋の掃除とか洗濯物とかやっていて人間的に成長したなと思います」
創部当初からエナジックスポーツが取り組んだのは、攻撃時にベンチからのサインが出ない、ノーサイン野球。
硬式クラブの「読谷ボーイズ」出身で、入学時から正捕手を務めてきた龍山選手は、自分たちで考え意思疎通を図る野球を実践し、成長に繋げてきました。
「ランナーの隙だとか、バッターのクセだとか、そういうところを見つける習慣ができて」「考え方も本当にがらっと変わって、エナジックに来てよかったなと思います」
新たな野球で、沖縄の高校野球界に旋風を起こしたエナジックは、今年春の大会で初優勝。
夏の大会でも第1シードから勝ち上がり、決勝戦に進出。延長タイブレークの末、興南高校に敗れ、甲子園には一歩届きませんでしたが、一躍、新鋭の強豪として
全国から注目を集めました。
全寮制で、24時間常にチームメートと過ごした3年間。野球に打ち込んだ青春は、
プロへの思いをさらに強くさせました。
「(学校での)青春はあんまり感じられなかったんですけど、やっぱり野球部が強くなるにつれて試合も勝っていって」「プロになって、エナジックにも恩があるので、そこでしっかり恩を返していけたらいいなと思います」
ドラフト会議当日。龍山選手の周りには、3年間をともに過ごしたチームメートの姿がありました。
「きついときもこの野球部15名で乗り越えてここまで来たので、野球部のみんなには感謝しかないです」「沖縄には自分のことを応援してくれる人もたくさんいると思うので、早く1軍に上がって、活躍している姿を見せていきたい」
仲間に祝福される龍山選手を近くで見守っていた、母・ゆみ子さんと、父の浩之さん。
▽母・ゆみ子さん
「小さいときからスポーツが大好きで」「本人の夢がかなって私も嬉しいです」「高校3年で野球を引退して、終わってしまった寂しさはあったんですけど、次はもうプロ野球という世界に飛び込んでくれたので、また楽しみが増えました」
家族に、仲間に支えられ、夢への一歩を踏み出した1日。感謝の思いを胸に、憧れの舞台で恩返しを誓いました。
<取材MEMO>
当面は1軍での出場を目指し、将来は日本代表するキャッチャーになりたいと抱負を語った龍山選手。今後の飛躍が期待されます。
このほかドラフト会議では、沖縄市出身で神戸国際大付属高校の津嘉山憲志郎選手が、ホークスの育成ドラフト7位で、南城市出身の木下勇人選手が同じくホークス育成11位で指名を受けました。(取材 片野達朗)
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