いよいよ24日に迫ったプロ野球ドラフト会議。上位指名がささやかれるのは、神戸弘陵高校(兵庫)の村上泰斗投手だ。この夏は兵庫大会の3回戦で敗退、甲子園出場経験はないものの最速153キロ右腕にMLBのスカウトも視察に訪れたほど。

3人の兄と姉を持つ5人兄弟の末っ子で、兄全員が野球をやっていた影響もあり野球を始めた。そんな“野球一家”に生まれた村上だったが、野球を始める前(幼稚園頃)に仲の良い友人がサッカーをやっていたため、両親に「サッカーをやろうかな」と伝えると、母に「サッカーやるなら弁当作らんぞ!」と一蹴されたという。

当時を振り返った母は「兄たちも野球をやっていたし野球をやってほしく、サッカーは分からないから何気なく言った言葉だった」と話し、村上も「今でもたまにこの話をする(笑)」とその思い出を楽しそうに語った。

中学時代は捕手で目立つ選手ではなかったというが、同校・岡本監督の熱烈な誘いで神戸弘陵高に入学。高校も捕手で意気込んでいた所、監督の進言もあり投手へ転向した。投手は未経験で転向には迷いもあった中、村上は両親に相談。

「ずっと捕手を教えてもらってきたけど、高校で投手をさせてもらえる。俺はやりたいけどいいかな?」

まさかの相談に父は「怪我もあるし、試合を左右するポジション。ましてやほとんどやったことないからかなり不安だった」と当時の思いを明かした。

また、消防士である父は普段行っているトレーニングを息子たちに教えてきたという。さらに自宅のガレージに廃材で作ったお手製の懸垂バー、ティーバッティング用ネットにボート用トレーニング器具も置き、自宅でも練習できる環境を整えて息子たちをサポートしてきた。

そんな父は「泰斗がやりたいなら、僕らが最初の応援団になって背中を押してあげないと。お前が神戸弘陵を甲子園に連れていける様に頑張れ」と息子の背中を押したという。

そこから2年半、ウエイトで体を作り、YouTubeで変化球を習得するなど練習を重ね、最速153キロを投げるプロ注目の投手へと成長。今夏の兵庫大会2回戦では、9回1死までノーヒットピッチングの快投を見せた。

「転向して本当に良かった」と語る村上の目標の投手は、元阪神タイガースの藤川球児。「分かっていても打てないストレートを目指したい」と意気込み、家族という最高の応援団に、最高のストレートで恩返しを誓う。

◆村上 泰斗(むらかみ たいと)
2007年2月20日生、17歳。右投右打 180cm73㎏ 
変化球はスライダー・カーブ・カット・フォーク・ツーシーム・チェンジアップ。今夏の兵庫県大会の2回戦では、9回1死までノーヒットピッチングを見せた。性格は「やんちゃでマイペース」。好きな歌手は「ZORN」お風呂で部員と熱唱する事も。チームメイトからは「歌唱力とファッションセンスがNo.1」の評価。大好物は唐揚げ。

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