高校ラガーマンなら誰もが出場を夢見る花園ラグビー場。車いすの元ラガーマンが、憧れの舞台に立ちました。
10月12~14日、東大阪市花園ラグビー場で開催された『マスターズ花園』。かつて花園を目指した40歳以上の元高校ラガーマンたちが、あの頃に戻って再び楕円球を追いかけました。
そんな中、この“聖地”に立つことを夢見た元ラガーマンがいます。大阪府立四條畷高校ラグビー部OBの吉田一毅さん(55)です。
(吉田一毅さん)「(ラグビーは)四條畷高校で始めました。僕らの年代はドラマ『スクール☆ウォーズ』がきっかけで一斉に始めた人が多いです」
高校時代にラグビーのトリコになった吉田さんは、大学でもラグビーを続けます。しかし、4年生のとき、練習中に脊髄を損傷。両手・両足が機能しなくなり、車いす生活を余儀なくされました。
(吉田一毅さん)「『やってなかったら良かったと思う?』とか聞かれますが、思わないですね」
ラグビー愛は変わらず、裏方としてチームを支える吉田さんの姿を見て、チームメイトが立ち上がりました。
(川上太一郎さん)「ご本人のグラウンドに立ちたいっていう思いもあってのことなんですが、全員で円陣を組んで部歌を斉唱する。誰一人かけることなく、85人で円陣を組むというのはひとつの目標ですね」
実は、川上さんは脳神経外科の医師です。知り合いの理学療法士らとともに、どうすれば吉田さんを安全に立った姿勢で円陣を組めるのかを検証し、何度もトレーニングを重ねてきました。全体練習では、本番で吉田さんの両脇を支えるメンバーに方法を伝授します。
(吉田一毅さん)「僕が逆の立場だったら、そこまでできるのかなといつも思います。力になってくれますね」
いざ、花園へ臨みます。
試合当日の14日、吉田さんは、かつて慣れ親しんだ白のジャージーに、37年ぶりに袖を通します。背番号「24」は自分で選びました。
(吉田一毅さん)「(ラグビーでは)24番目の選手という意味があって、選手のつもりで花園を楽しもうかなと」
そして、いよいよこのときがやってきました。グラウンドで円陣を組み、四條畷高校ラグビー部の部歌を歌います。
(吉田さん)「ありがとう」
(チームメイト)「お疲れさまです」
吉田さんは、憧れの聖地で仲間たちとともにかけがえのない時間を過ごしました。
(吉田一毅さん)「一生懸命、歌いましたね。楽しめました」
『1人はみんなのために、みんなは1人のために』仲間たちとの絆は、これからも続きます。
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