阪神タイガースの新監督に藤川球児さん(44)が就任。藤川新監督の人物像や新生タイガースの今後について、10月15日、プロ野球解説者の能見篤史さんに聞きました。
22年ぶり「投手出身」の新監督は“投手王国”の阪神に適任?
―――藤川さんが新監督就任と聞いた時、能見さんはどう思いましたか?
「面白いなと思いました、率直に。(現役時代は)僕も一緒にやらせてもらいましたけど、やはり頭がいい。年齢は僕の方が1つ上ですけど、勉強になることがすごく多かったですね」
―――阪神に在籍されていた時は、能見さんが先発で、藤川新監督がリリーフという関係ですよね?
「そうですね。僕がちょうど入団したころは、(藤川新監督が)勝ちパターンで投げる年だった。周りにうまく気配りができてというところはすごかったですね」
―――改めて、藤川球児新監督はどんな人なのか。能見さんとしては『周りに気を配れて、よく気づくリーダータイプ』という印象のようですね?
「阪神でも中心でやっていましたし、リーダータイプというか、自分が何をしたらみんなが良くなるかっていうのもしっかり把握した上で、しんどいことも自分でやったりしていました。それをすることによって他の選手がいきるというのもちゃんと頭の中で描きながら。チームが良い方向に行くようにっていうのを、現役時代よく率先してやっていました」
―――どちらかというと、背中で見せる感じですか?それとも言葉で?
「言葉と背中、両方とも。『こうやって言ってるけど、実際に俺を見といてくれよ』『実際こうやってやっているだろう』と」
―――阪神で投手出身の監督は、星野仙一さん以来22年ぶり。生え抜きの投手に限れば、村山実さん以来36年ぶりです。藤川新監督は投手出身の監督ということで、投手王国の阪神には適任でしょうか?
「甲子園球場という広い球場でやる中で、阪神のチーム自体が守り中心でやった方が上位にいる確率は非常に高いんですよ。やっぱりその辺は地の利をいかした采配にはなりますし、そういう意味では投手中心で守りの野球をしていくと思うので、そうなると適任ですよね」
―――コーチ経験なしという点はいかがでしょうか?
「基本的に監督って1年で終わりとかではなく、その(在任期間の)中でプランを立てて、要は2年後3年後にちゃんとしたチームに…と考えたとき、コーチ経験がなくても何とかなります。ただ、コーチ経験があった方が選手と寄り添ってる時間が長くなり、すんなり入っていけるっていうのはあります。だからその辺はちょっと懸念はされます」
―――近年では金本知憲さんがコーチ経験なしで監督に就任されましたが、珍しいケースなのでしょうか?
「珍しいというか、コーチ経験があった方がうまくチームに入っていける。やっぱりコミュニケーションをしっかりとっていくことが大事なので」
岡田監督が藤川投手を見出し「JFK」確立
―――藤川新監督は現役時代、「火の玉ストレート」と呼ばれる直球が代名詞でしたね。少し“前から投げている”感じも?
「(投球時の)歩幅自体、人より広く、7歩~7歩半ぐらい。バッターからすると距離は近いです。それだけ体の使い方も非常に上手です」
―――バッターは「近っ!」と感じるんですか?
「やっぱりボールを離す位置がだんだんバッター寄りになると、より近くには感じますね」
―――そんな“藤川投手”の才能を見いだしたのが、岡田彰布前監督でした。先発では結果を出せなかった藤川投手をリリーフに転向。7回がジェフ・ウィリアムス投手、8回が藤川投手、そして9回が久保田智之投手という勝利の方程式「JFK」を確立しました。
「(岡田前監督が)見いだして、この3人がしっかり役割を果たしました。その中で、球児はちゃんと“自分が何をしたらこの2人はいきるか”っていうこともしっかり考えながらやっているのを僕は見ていました。7回に登板したりもしますし、例えばいろんな強打者がいる中で“自分が登板したことによって、次の投手が楽になるように”っていうのも考えながら」
阪神とオリックスが新監督就任で…能見さんは?
―――藤川新監督はどんな采配になるのでしょうか。“岡田采配”との違いなど、そのあたりはどう思われますか?
「岡田さんのものも大事にしながら、でも球児は球児の独自の野球の感性があるので。あと、自分だけではなくてその先のタイガースのことも考えて、たぶんいろんな起用をしてくるんじゃないかなと思います」
―――そして気になるのは新監督を支えるコーチ陣。ちなみに、2022年、当時オリックスに在籍していた能見さんの引退セレモニーで、藤川新監督は「野球界は能見さんのことをほっておきません!」というメッセージを寄せていました。能見さん、来シーズンのスケジュールは…?
「スケジュールですか?しっかり空いております」
―――だいたい(コーチ陣は)すでに決まっているものなのでしょうか?
「だいたいたぶんある程度もう決まっていると思います」
―――オリックスの新監督に就任した岸田護さん(43)も能見さんにとって苦楽を共にした“後輩”ですね。
「そうですね。楽しみですね、2人とも芯をしっかり持っているので」
―――もしかしたら岸田さんに呼ばれる可能性は?
「ないです、大丈夫です。基本は新監督が決まったときには、ある程度オファーはいっていると思います」
―――直接電話とかあるんですか?
「基本は直接電話がかかってくると思いますよ。球団の方針もたぶんあると思いますが」
―――では、来シーズンも番組での解説よろしくお願いします。
「はい、しっかりやります」
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