バレーボールは「Vリーグ」として親しまれてきた国内最高峰のリーグが「SVリーグ」に生まれ変わり、10月11日に開幕戦が行われた。
2030年までに世界最高峰のリーグを目指すというが、一体なにが変わり、なぜリーグがレベルアップできるのだろうか?
東レアローズ静岡の選手に聞いた。
好調な日本バレー界が新ステージに
いまバレーボールが熱い!そう印象付けたのが2024年の国際大会だ。
6月のネーションズリーグでは47年ぶりのメダル獲得。
8月のパリ五輪でも石川祐希や高橋藍など実力と人気を兼ね備えたスタープレーヤーが2022世界選手権の王者・イタリアを相手にフルセットの接戦を演じ、多くのファンを沸かせた。
そして舞台は国内へ…いよいよ10月11日に開幕するのが「SVリーグ」だ。日本バレー界にとって大きな変革の時を迎えた。
SVリーグ・大河正明チェアマン:
SVリーグは2030年までに世界最高峰のバレーボールリーグに成長することを目指し、新たなスタートを切りました
新リーグは世界レベルを目指し3つの「S」を打ち出した。
「Strong=強く」「Spread=広く」「Society=社会とつなぐ」が理念だ。
ホームを県東部から全域に拡大へ
その初代王者を静岡県内から目指すのが東レアローズ静岡だ。
これまで三島市での活動が主だったが、静岡県内全域をホームにしての新たな挑戦となる。
東レアローズ静岡・阿部裕太 監督:
バレーボール界の人気も注目度も上がっているところでSVリーグ開幕にあたり、強さも価値も感じてもらえるような行動や成績を残せる大きなチャンスが来たと思う
東レアローズ静岡は世界を見据えた上で、9月に新体制の発表会見を東京で行なった。これは異例のことだ。
さらに、企業の“部活動”という立ち位置から法人化への移行が発表され、今後は東レアローズ株式会社としてプロクラブとしての収益や“地域接着”というテーマの下、社会貢献の重視を打ち出した。
言葉通り、バレーボールの体験授業は静岡県東部中心から県全域へと展開し、バレーボールの裾野を広げる活動に力を入れている。
バレーボールの体験授業などの活動はオフシーズンの5月から9月までで、2023年は39件だったが、2024年は62件に上る。また、静岡市や浜松市とも連携協定を結んでいる。
ファン獲得にJ・Bリーグもライバル
東レが新時代へと突入する中、誰よりもチームを良く知る在籍18年で2024年に40歳となったベテラン・米山裕太は…
東レアローズ静岡・米山裕太 選手(40):
(課題は)認知度を上げることが一番。東部地域ではそれなりに認知度があると思うけど、中部や西部に来ると自分たちのことを知らない人のほうが多いので、そういう人たちに自分たちを知ってもらうことが大切
クラブとして認知度の高さは生命線だ。
9月29日に東部地区で行われた決起集会では、初めての開催にも関わらず1000人以上のファンが集まった。
ただ、今後活動範囲を広げることを考えるとJリーグやBリーグなど既存のプロクラブがある中で新規ファンの獲得が課題となっている。
プロ化や外国人枠増でチーム内競争激化
東レアローズ静岡・西本圭吾選手(25):
やはり僕たちも見られている立場として、より喜んでもらおうという気持ちも含めて、すばらしい東レアローズ静岡というチームがあるのを皆さんに見てもらう意識がより高くなっていると思う
そう話すのがSVリーグ開幕を前にプロ契約を結んだ西本圭吾だ。
これまでの社員選手からプロ契約を結ぶ選手が生まれたことで活躍が報酬に直結する。
さらに外国籍選手の枠も増えたことで、より高いレベルと熾烈なポジション争いが予想される。
東レアローズ静岡・米山裕太 選手:
移籍してくる選手もいますし、外国籍の選手が2人になったりして、誰ひとりとしてレギュラーは決まっていないという話でここまでやってきたので、ひとりひとりが自分の活躍の場を求めて行動・練習に取り組むようになった
半年間の長丁場…選手層の厚みもカギ
SVリーグ男子は10チームで、10月からの半年間でホーム&アウェーの計44試合を戦い、上位6チームがチャンピオンシップに進出する。
浮き沈みもある長丁場のシーズンを勝ち抜くには特定の選手に頼るのではなく、選手層の厚みも重要な要素だ。
2024年は三島に拠点を移してちょうど60年。
もちろん築き上げた歴史と信頼はあるが、静岡県全体へと広げる新たな挑戦によって地域やファンに愛された先に栄冠は待っているはずだ。
東レアローズ静岡・米山裕太 選手:
初代王者を目指しているので優勝という形をファンに見せたい。ホームゲームでも1つでも多く勝ち星を重ねて、ファンの皆さんと喜びを分かち合える姿を見せたい
10月11日に開幕するSVリーグ。
東レアローズ静岡の初戦は12日、アウェーで広島サンダーズと対戦する。
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