パラ五輪の車いすラグビー日本代表は2大会連続で銅メダルに終わり、パリ大会では初の金メダル獲得を目指している。静岡県沼津市出身で4大会連続出場の若山英史 選手に集大成として挑むパリ大会への決意を聞いた。
年齢を重ねて守備に円熟味
車いすを使うパラ五輪の中で、唯一激しい接触が許される 車いすラグビー。
緻密な戦略も魅力のこの競技で、4大会連続の戦いに挑むのが沼津市出身の若山英史 選手(39)だ。
パリへの出発を控えた8月6日にパラ五輪開幕を目前にした心境を聞くと、「今ちょうどオリンピックをやっているので、それを見て自分たちの会場とかも見ながらイメージを膨らませている。今はドキドキというよりはワクワクというのがすごく強い感じ」と打ち明けた。
車いすラグビーは1チーム4人。各選手には障害の度合いに応じて点数が決められていて、合計の点数内でメンバーを構成しなければならない。
20年前にプールの事故で頸椎を損傷した若山選手は障害が重いため持ち点が少ない「ローポインター」で、守備的な役割をチームで求められるポジションだ。
2大会連続の銅メダル獲得に貢献したディフェンスは、年齢を重ね円熟味を増している。
若山英史 選手:
世界で戦えるスピードはしっかり持ちつつも、さらに自分の考えるディフェンス。先読みの部分や「この選手はこんなことをしてくるだろうな」という読みの部分が、年々自分の中で確立してきているものがあって、それがハマる
結婚・第1子誕生で心境に変化
スキルアップの裏には環境の変化がある。
これまでは仕事と競技の両立が求められていたが、3年前、県内企業でのアスリート雇用が叶い競技に専念できるようになった。
そして、パラ五輪東京大会の後に結婚し、2024年5月には子宝に恵まれた。
夫になり、父になり迎えるパリ大会にかける思いは、今までの大会とは違うと話す。
若山英史 選手:
心境的に安心できる部分がある。夫として父として、自分が輝ける間はそれをしっかり見せられるというのは、すごく自分の心境として変わっている部分があります
輝ける間は見せられる。
40歳を前に肉体のピークこそ過ぎたが、まだ輝きは失っていない。
だからこそ、どうしても果たしたい夢が彼にはある。
悔しい思いをした3年前の自分からエール
それを呼び起こさせたのは3年前の若山選手自身だ。
テレビ静岡では3年前の東京大会の直後に若山選手に取材し、パリ大会に臨む自分にエールを贈ってらった。
東京大会後の若山選手からパリ大会に挑む若山選手へ(2021年取材):
(東京は銅メダルで)いま悔しい思いでいっぱいなので、悔しさを晴らせるようにこの3年間は、血へどを吐くような練習をしてきていると思うので、(パリでは)しっかり結果を出してください
この映像を見た若山選手は「(インタビューを収録したことを覚えてなかったので)びっくりした。3年前の自分から託されたので、血へどは吐いていないが、しっかりと自分のプレーに自信が持てるくらいの練習はしてきたので」と、パリにかける思いを新たにする。
悔しさの火はまだ消えることなく、さらに燃え上がっている。
これまで支えてくれた全ての人への感謝を胸に、若山英史 選手が集大成となるパリで狙うは金メダルただ1つだ。
若山英史 選手:
パリ五輪を見ていて思うのです、金メダルを取っている瞬間はすごく輝かしいし、モノ(メダル)自体もすごくきれいに僕の目に映っているので、それを自分のお世話になっている方々に一緒に感じて欲しいので、その瞬間を皆さんで共有できるように静岡県に金メダルを持って帰りたい
日本は準決勝でオーストラリアを52対51の僅差で破り、いよいよ3日午前2時30分(日本時間)からの決勝でアメリカと対戦する。
悲願の金メダル獲得なるか注目される。
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